TRAINING SCIENCE / SUPERSET
筋トレの
スーパーセットは、
効果的なのか。
時間を短くすることと、
トレーニングの効果を高めることは違う。
02 / HYPERTROPHY
03 / PROGRAMMING
トレーニングをしたいけれど、
十分な時間を確保できない。
そのようなとき、
2つの種目を続けて行う
「スーパーセット」という方法があります。
休憩時間を短縮できる一方で、
疲労が大きくなり、
扱える重量や反復回数に
影響する可能性もあります。
では、スーパーセットは
通常のトレーニングと比べて
筋肥大や筋力向上に有利なのでしょうか。
この記事では、
2025年の系統的レビュー・メタ解析と
個別の介入研究をもとに、
効果と実践方法を整理します。
QUICK ANSWER
スーパーセットは、
時間効率を高める
有力な選択肢。
研究では、通常のセット方法と比べて
トレーニング時間を短縮しながら、
総反復回数やトレーニング量を
おおむね維持できる可能性が示されています。
一方で、スーパーセットだから
必ず筋肥大が大きくなるわけではありません。
また、組み合わせる種目によっては
疲労が増加し、
パフォーマンスが低下することもあります。
TIME
時間短縮に有利
GROWTH
筋肥大が必ず増えるわけではない
FATIGUE
疲労管理が重要
01 / DEFINITION
スーパーセットとは、
どのような方法か。
スーパーセットとは、
2つのトレーニング種目を
ほとんど休憩を挟まずに連続して行い、
その後に休息を取るセット構成です。
例えば、ベンチプレスを行った直後に
ローイングを行い、
2種目が終了してから休憩します。
これに対して通常のストレートセットでは、
1種目を行うたびに休憩を挟み、
所定のセット数を終えてから
次の種目へ進みます。
2つの方法を比較
TRADITIONAL SETS
種目A
休憩
種目A
休憩
種目B
1種目ごとに休息を確保する。
SUPERSETS
種目A
種目B
休憩
種目A
種目B
2種目を続けて行い、まとめて休息する。
※セット構造を示す模式図です。
実際のセット数や休息時間を
指定するものではありません。
スーパーセットは、
すべて同じではない。
研究では、組み合わせる種目の特徴によって
スーパーセットを分類しています。
TYPE 01
主働筋・拮抗筋の組み合わせ
ベンチプレス × ローイング
押す動作と引く動作など、
主に異なる働きをする筋群を組み合わせます。
TYPE 02
同じ筋群を使う組み合わせ
ベンチプレス × ダンベルプレス
同じ筋群に続けて負荷をかけるため、
局所的な疲労が大きくなりやすい方法です。
TYPE 03
上半身・下半身の組み合わせ
上半身の種目 × 下半身の種目
主に使う部位を変えながら、
2種目を続けて実施します。
※日本語のトレーニング解説では、
スーパーセットとコンパウンドセットを
区別する場合があります。
ここでは引用研究の分類に従い、
2種目を連続して行うセット構成を
広い意味でスーパーセットとして扱います。
02 / SCIENTIFIC EVIDENCE
2025年の研究では、
何が分かったのか。
Zhangらは2025年、
スーパーセットと通常のセット方法を比較した
系統的レビュー・メタ解析を発表しました。
SPORTS MEDICINE / 2025
19研究・313名を対象とした
系統的レビュー・メタ解析
STUDIES
PARTICIPANTS
SHORTER TIME
約37%は、レビューで報告された
通常セットとのトレーニング時間の比較結果です。
すべてのプログラムで同じ割合の
時間短縮が起こることを意味しません。
① トレーニング時間
スーパーセットでは、
通常のセット方法と比較して
トレーニング時間が約37%短縮されました。
これは主に、
セット間の休息回数や
休息時間が少なくなるためです。
ただし、実際の短縮幅は
種目数、セット数、器具の移動、
休息時間などによって変わります。
② 総反復回数とトレーニング量
解析全体では、
スーパーセットと通常セットの間に、
総反復回数やボリュームロードの
明確な差は検出されませんでした。
つまり、条件によっては
トレーニング量をおおむね維持しながら
時間を短縮できる可能性があります。
ただし、研究間のばらつきもあるため、
どの種目の組み合わせでも
同じ結果になるとは限りません。
③ 筋肥大・筋力向上
長期的な筋肥大や筋力向上についても、
解析では両方法の間に
明確な差が検出されませんでした。
しかし、ここには重要な注意点があります。
IMPORTANT
長期的な効果を調べた研究は、
19研究のうち3件。
19研究すべてが、
数週間から数か月の
筋肥大・筋力向上を調べたわけではありません。
16研究は主に、
1回のトレーニング中や
直後の反応を比較しています。
したがって、
長期的な効果については
今後の研究による検証が必要です。
④ 主観的なきつさ
スーパーセットでは、
通常セットよりも
主観的運動強度が高くなる傾向が
示されました。
時間を短縮できる一方で、
短い時間に運動を集中させるため、
きつく感じやすくなる場合があります。
時間効率が高いことと、
身体への負担が小さいことは
同じではありません。
TIME EFFICIENCY
IS NOT THE SAME AS
TRAINING EFFECT.
短い時間で行えることと、
より大きな効果が得られることは違う。
03 / EXERCISE SELECTION
組み合わせによって、
結果は変わる。
スーパーセットを考えるうえで、
重要なのは
「どの種目とどの種目を組み合わせるか」です。
拮抗筋を組み合わせる場合
2025年のメタ解析では、
主働筋・拮抗筋を組み合わせた条件で、
通常セットより総反復回数が
多くなる結果が示されました。
例えば、
ベンチプレスとローイング、
アームカールと上腕三頭筋の種目などです。
ただし、反対の動きをする筋群だからといって、
一方の筋肉が完全に休息しているわけではありません。
実際のトレーニングでは、
姿勢保持や関節の安定に
複数の筋肉が関わります。
同じ筋群を続けて使う場合
同じ筋群を続けて使用する組み合わせでは、
通常セットと比較して
ボリュームロードが低下する結果が
示されました。
例えば、
ベンチプレスの直後に
ダンベルプレスを行う方法です。
局所的な疲労が大きくなり、
2種目目の反復回数や重量に
影響する可能性があります。
PROGRAMMING POINT
疲労を増やすことを、
目的にしない。
強い疲労感やパンプ感は、
トレーニング中の反応です。
それだけで筋肥大の効果が
大きいと判断することはできません。
04 / PRACTICAL APPLICATION
実際のトレーニングに、
どう取り入れるか。
スーパーセットは、
すべての種目に採用する必要はありません。
目的に合わせて一部に取り入れる方法があります。
EXAMPLE 01
胸 × 背中
ベンチプレス
+
シーテッドロー
押す動作と引く動作を
組み合わせる例です。
重量や反復回数を維持できるかを
確認しながら実施します。
EXAMPLE 02
上腕二頭筋 × 上腕三頭筋
アームカール
+
トライセプスプレスダウン
肘関節の屈曲・伸展に関わる
筋群を組み合わせる例です。
器具の移動が少なく、
種目の切り替えが容易な場合に
取り入れやすい組み合わせです。
実施するときの流れ
まず、通常のセット方法で
それぞれの種目を安全に実施できるか確認する。
2つの種目を続けて行い、
両方が終了したところで休憩する。
反復回数、重量、フォーム、
主観的なきつさを確認する。
2種目目のパフォーマンスが大きく低下する場合は、
組み合わせや休息時間を見直す。
最大筋力を優先する場合
高重量での最大筋力向上を
主な目的とする場合には、
スーパーセットの採用を
慎重に考える必要があります。
2024年のランダム化比較試験では、
10週間の多関節トレーニングにおいて、
スーパーセット群と通常セット群で
一部の種目の筋力向上に差が見られました。
レッグプレスやベンチプレスでは
両群の改善は比較的近い一方、
ラットプルダウンでは
通常セット群の改善が大きい結果でした。
そのため、
特定種目の最大筋力を優先する場合には、
十分な休息を確保した
通常セットが適することもあります。
SAFETY NOTE
時間短縮のために、
動作の質を犠牲にしない。
スーパーセットでは、
呼吸の乱れや疲労によって
フォームが変化する場合があります。
強い息切れ、めまい、胸部の不快感、
普段と異なる痛みがある場合は
運動を中止してください。
心血管疾患などがある場合や、
運動制限を指示されている場合は、
医療者に確認したうえで
運動方法を選択してください。
05 / STUDIO KOMPAS
効率だけで、
トレーニングを
決めない。
スーパーセットは、
限られた時間の中で
トレーニングを組み立てるための
一つの選択肢です。
しかし、
時間を短縮することが
すべての人にとって
最優先になるわけではありません。
筋力を高めたいのか。
筋肉量を増やしたいのか。
動作を習得したいのか。
運動を継続することが目的なのか。
目的や身体の状態、
トレーニング経験、
生活の中で使える時間によって、
適切なプログラムは変わります。
STUDIO KOMPASでは、
一つのトレーニング方法を
すべての人に当てはめるのではなく、
身体と目的に合わせて
方法を考えることを大切にしています。
TRAINING SHOULD
FIT YOUR LIFE.
06 / FAQ
よくある質問
スーパーセットは筋肥大に効果がありますか?
スーパーセットでも筋肥大は期待できます。
ただし、通常セットより
必ず大きな筋肥大が得られると
証明されているわけではありません。
長期的な比較研究はまだ限られています。
スーパーセットは何分休めばよいですか?
すべての人に共通する
最適な休息時間は決まっていません。
種目、重量、努力度、
次のセットで維持したいパフォーマンスに
合わせて調整します。
スーパーセットは初心者にもおすすめですか?
初心者でも採用できる場合はありますが、
まずは各種目のフォームや負荷設定を
理解することが重要です。
疲労によって動作が乱れる場合は、
通常セットから始める方法があります。
スーパーセットは毎回行うべきですか?
毎回行う必要はありません。
時間が限られている日や、
特定の種目を組み合わせたい場合など、
目的に応じて使い分けられます。
スーパーセットとコンパウンドセットの違いは?
日本語の一般的な解説では、
拮抗する筋群を組み合わせる方法を
スーパーセット、
同じ筋群を続けて鍛える方法を
コンパウンドセットと区別することがあります。
一方、研究では両者を
スーパーセットの異なる種類として
扱う場合もあります。
用語だけでなく、
実際の種目構成を確認することが大切です。
REFERENCES
参考文献
-
Zhang X, Weakley J, Li H, et al.
Superset Versus Traditional Resistance
Training Prescriptions:
A Systematic Review and Meta-analysis
Exploring Acute and Chronic Effects.
Sports Medicine. 2025;55:953–975. -
Efficacy of Supersets Versus Traditional
Sets in Whole-Body Multiple-Joint
Resistance Training:
A Randomized Controlled Trial.
Journal of Strength and Conditioning Research.
2024;38(8):1372–1378.
本記事では、研究から得られた知見と
実践上のプログラム設計例を区別しています。
実践例は、すべての人に共通する
最適解を示すものではありません。
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