TRAINING SCIENCE / EXERCISE ORDER

筋トレの順番は、
どう決める?

大きい筋肉から。
それだけが正解ではない。

筋トレのメニューを組むとき、
「大きい筋肉から鍛えた方がよい」
と聞いたことはないでしょうか。

スクワットから始める。
ベンチプレスを先に行う。
腕のトレーニングは最後にする。

こうした順番には一定の合理性があります。
しかし、すべての人が同じ順番で
トレーニングする必要があるのでしょうか。

実際には、筋力を高めたいのか、
筋肉を大きくしたいのか、
特定の動作を練習したいのかによって、
優先する種目は変わります。

この記事では、種目の順番に関する研究をもとに、
トレーニングメニューの組み立て方を整理します。

EXERCISE ORDER
STRENGTH
HYPERTROPHY
PROGRAM DESIGN

QUICK ANSWER

最初に行うべきなのは、
優先したい種目。

筋力向上を目的とする場合、
重要な種目をトレーニングの前半に配置することは、
合理的な方法の一つです。

一方、筋肥大については、
大きい筋肉から小さい筋肉へという順番が
必ず優れているとは言い切れません。

01 / STRENGTH
筋力向上

伸ばしたい種目を
疲労の少ない前半に配置する。

02 / HYPERTROPHY
筋肥大

種目順だけでなく、
総セット数や努力度も考える。

03 / SKILL
動作の習得

練習したい動作を、
集中できる状態で行う。


PRIORITY
BEFORE ORDER.

決まった順番を守ることより、
何を優先するかを明確にする。

01 / FIRST PRINCIPLE

なぜ、筋トレの
順番が重要なのか。

トレーニングでは、
一つの種目を行うことによって
筋肉や神経系に疲労が生じます。

そのため、同じ重量や回数を目標にしていても、
先に別の種目を行った場合と、
最初に行った場合では、
発揮できるパフォーマンスが
異なることがあります。

例えば、ベンチプレスの場合

ベンチプレスでは、大胸筋に加えて
上腕三頭筋や三角筋なども働きます。

先に上腕三頭筋を集中的に鍛えていれば、
ベンチプレスを行う際に
腕の疲労が影響する可能性があります。

反対に、ベンチプレスを先に行えば、
疲労が少ない状態で
その種目の練習や高い力の発揮に
取り組みやすくなります。

KEY POINT

種目の順番は、
疲労の配分でもある。

どの種目に高いパフォーマンスを求めるのか。
その優先順位が、メニューを組む際の
判断材料になります。

02 / RESEARCH EVIDENCE

研究では、
何が分かっている?

2021年の系統的レビュー・メタ解析

Nunesらの研究では、
トレーニング種目の順番が
筋力向上や筋肥大に与える影響について、
11件の研究を対象に検討しました。

その結果、筋力向上については、
トレーニングの前半に配置した種目で
より大きな改善が得られる傾向が示されました。

一方、筋肥大については、
多関節種目から始める場合と、
単関節種目から始める場合で、
統合した結果に有意な差は認められませんでした。

RESEARCH / 2021

種目順と筋力・筋肥大の関係
11
対象研究数
筋力
前半の種目が有利な傾向
筋肥大
順番による有意差なし

出典:Nunes JP, et al.
European Journal of Sport Science.
2021.

2026年のACSM指針

2026年に公表された
米国スポーツ医学会(ACSM)の指針では、
137件の系統的レビュー、
延べ30,000人以上の参加者を含む
研究結果が整理されています。

筋力向上に関係する要素の一つとして、
トレーニングセッションの前半に
種目を配置することが挙げられています。

ただし、この指針は
すべての人に共通する
一つの種目順を指定したものではありません。

HOW TO INTERPRET

「前半に行うとよい」と、
「必ず最初に行うべき」は違う。

研究結果は集団としての傾向です。
個人の目的、運動経験、身体の状態、
種目への習熟度によって
適切な順番は変わる可能性があります。

03 / EXERCISE CLASSIFICATION

多関節種目と、
単関節種目。

種目の順番を考える際によく使われるのが、
多関節種目と単関節種目という分類です。

これは筋肉の大きさではなく、
主に動作に関わる関節の数による分類です。

MULTI-JOINT

多関節種目

複数の関節が動き、
複数の筋群が協調して働く種目。

代表例
スクワット
代表例
ベンチプレス
代表例
ラットプルダウン

SINGLE-JOINT

単関節種目

主に一つの関節運動を中心として、
特定の筋群を鍛える種目。

代表例
アームカール
代表例
レッグエクステンション
代表例
サイドレイズ

多関節種目を先に行うのが基本?

スクワットやベンチプレスなど、
複数の関節を使う種目では、
高い力の発揮や動作の協調が求められます。

これらの種目の筋力向上を
優先するのであれば、
疲労が少ない前半に配置する方法は合理的です。

ただし、上腕二頭筋の筋力向上を
最優先にしたい場合には、
アームカールを先に行う選択もあります。

「多関節だから先」ではなく、
「何を伸ばしたいか」で考えることが重要です。

04 / PROGRAM PRIORITY

目的によって、
順番は変わる。

すべてのトレーニングメニューに
共通する順番を決めるのではなく、
その日の優先課題から組み立てます。

01
MAXIMAL STRENGTH

ベンチプレスの筋力を伸ばしたい

ベンチプレスを前半に配置する。
その後に補助種目を組み合わせる。
高い力の発揮を優先した構成です。

02
LOWER BODY STRENGTH

スクワットの筋力を伸ばしたい

ウォームアップ後、
スクワットを前半に配置する。
その後に下半身の補助種目を行う。

03
TARGETED DEVELOPMENT

腕のトレーニングを優先したい

腕の単関節種目を前半に配置する方法もある。
ただし、その後のプレスやプル系種目に
疲労が影響する可能性を考慮します。

04
MOVEMENT LEARNING

新しい動作を習得したい

動作を学ぶことを優先する場合、
集中できる前半に練習を配置する。
必ずしも高重量から始める必要はありません。

IMPORTANT

ここで示したのはメニュー設計の考え方です。
特定の順番が、すべての人に最適であることを
示したものではありません。

05 / PRACTICAL EXAMPLE

全身を鍛える日は、
どう組み立てる?

例えば、全身の筋力向上を目的として
週2回トレーニングする場合を考えてみます。

以下は、特定の部位だけを
最優先にしない場合の構成例です。
種目やセット数は、
運動経験や身体の状態に合わせて調整します。

STEP 01 / PREPARATION

準備

ウォームアップ

目的

その日の動作と負荷への準備

内容

軽い全身運動・動作確認・段階的な負荷設定

STEP 02 / MAIN LIFT

下半身

スクワット系種目

目的

下半身の筋力と動作の練習

例

スクワット・レッグプレスなど

STEP 03 / UPPER BODY

上半身

プレス・プル系種目

目的

押す・引く動作の筋力向上

例

ベンチプレス・ローイングなど

STEP 04 / ASSISTANCE

補助種目

個別の課題に合わせて追加

目的

必要な筋群や動作を補う

例

単関節種目・体幹種目など

PROGRAM DESIGN

同じメニューでも、
順番を固定する必要はない。

上半身の筋力を優先したい日は、
プレスやプル系種目を先にする方法もあります。
重要なのは、順番を選んだ理由が明確であることです。

06 / WHEN TO ADJUST

順番を変えた方が
よい場合もある。

1. 動作の練習を優先したい場合

新しい動作を覚えるときは、
重量を増やすことよりも
動作を確認することを優先する場合があります。

疲労が少なく集中できる時間帯に、
軽い負荷で練習する方法が考えられます。

2. 特定の筋群を優先したい場合

特定の筋群を重点的に鍛えたい場合、
その筋群を対象とする種目を
前半に配置する選択があります。

ただし、先に行った種目の疲労が、
後続の種目にどう影響するかは
確認する必要があります。

3. 関節や動作に不安がある場合

重い重量を扱う前に、
必要な可動域や動作を確認した方が
よい場合があります。

この場合は、
一般的な種目順よりも
現在の身体の状態や安全性を優先します。

SAFETY NOTE

運動中に痛みが生じる場合や、
既往歴・疾患がある場合には、
無理に負荷を上げず、
必要に応じて医療専門職へ相談してください。

07 / SELF CHECK

メニューの順番を、
どう見直す?

種目の順番を変えるべきか迷ったら、
次の視点で確認してみましょう。

01

その日の最優先種目は明確になっているか。

02

重要な種目に取り組む前に、
疲労が大きくなっていないか。

03

種目の順番によって、
重量や反復回数が大きく変わっていないか。

04

動作の質や可動域を
維持できているか。

05

順番だけでなく、
セット数・努力度・休憩時間も
適切に設定できているか。

種目の順番は、
トレーニング効果を左右する
複数の要素のうちの一つです。

同じ種目順でも、
セット数や負荷、休憩時間が変われば、
トレーニング全体の刺激は変わります。

08 / STUDIO KOMPAS

メニューの形より、
その人の目的から。

STUDIO KOMPASでは、
トレーニングを組み立てる際に、
一人ひとりの目的や運動経験、
現在の身体の状態、
ライフスタイルを確認しています。

筋力を高めたいのか。
筋肉量を増やしたいのか。
スポーツに必要な動作を身につけたいのか。
運動そのものを楽しみたいのか。

目的が違えば、
優先する種目や順番も変わります。

科学的な知見を参考にしながら、
実際の動きや反応を確認し、
その人に合った方法を考えていきます。


TRAIN
WITH PURPOSE.

決まったメニューをこなすのではなく、
目的のあるトレーニングを積み重ねる。

FAQ

筋トレの順番について、
よくある質問。

Q. 筋トレは必ず大きい筋肉から鍛えるべきですか?

必ずしもそうではありません。
多関節種目を前半に配置することには
合理性がありますが、
優先したい種目や目的によって
順番を変えることもできます。

Q. 筋トレの順番で筋肥大の効果は変わりますか?

2021年のメタ解析では、
多関節種目から始める場合と
単関節種目から始める場合で、
筋肥大に有意な差は認められませんでした。
ただし、あらゆる条件で同じ結果になると
証明されたわけではありません。

Q. ベンチプレスと腕の筋トレはどちらが先ですか?

ベンチプレスの筋力向上を
優先するなら、
ベンチプレスを先に行う方法が合理的です。
腕の種目を優先する場合には、
順番を変える選択もあります。

Q. 腹筋は最後に行うべきですか?

必ず最後にする必要はありません。
腹部の筋群を集中的に鍛える目的なら
前半に配置する方法もあります。
ただし、その後の種目で必要な
体幹の働きに疲労が影響しないかを
考慮します。

Q. 初心者はどの順番から始めればよいですか?

まずは動作を安全に行えるかを確認し、
習得したい種目を
集中できる状態で練習することが大切です。
必ずしも高重量の種目から
始める必要はありません。

REFERENCES

参考文献・研究資料

  1. Nunes JP, Grgic J, Cunha PM, et al.
    What influence does resistance exercise order
    have on muscular strength gains and muscle hypertrophy?
    A systematic review and meta-analysis.
    European Journal of Sport Science.
    2021;21(2):149–157.


    PubMedで確認する ↗
  2. Currier BS, D’Souza AC, Fiatarone Singh MA, et al.
    American College of Sports Medicine Position Stand.
    Resistance Training Prescription for Muscle Function,
    Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults:
    An Overview of Reviews.
    Medicine & Science in Sports & Exercise.
    2026;58(4):851–872.


    PubMedで確認する ↗

本記事では、研究から得られた一般的な知見と、
STUDIO KOMPASにおける指導上の考え方を
区別して記載しています。

メニュー例は、すべての人に共通する
最適な運動処方を示すものではありません。

AUTHOR / SUPERVISOR

山岸 慎

執筆・監修:山岸慎|STUDIO KOMPAS創業者・
パーソナルトレーナー|NSCA-CSCS

STUDIO KOMPASにて、
目的や身体の状態に合わせた
パーソナルトレーニングを行っています。


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初回から2週間以内に
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