STUDIO KOMPAS / MOVEMENT & SHOULDER
肩甲骨が硬いと
肩こりになる?
「肩甲骨が硬い」という言葉だけでは、
身体で何が起きているのかは分かりません。
肩甲骨そのものだけを見るのではなく、
肩関節の可動性、肩甲骨を支える能力、胸郭、
そして体幹まで含めて考えることが大切です。
STUDIO KOMPASが現場でどのように肩まわりを見ているのかを解説します。
01 / FIRST ANSWER
「肩甲骨が硬い」だけでは、
肩こりは説明できません。
腕が上がりにくいことと、
肩甲骨が硬いことはイコールではありません。
一般的には「肩甲骨が硬い」と表現されることがあります。
しかし実際には、肩甲骨だけではなく、
肩関節の可動性や肩甲帯を支える能力、
胸郭や体幹の状態など複数の要素が関係します。
そのためKOMPASでは、
「肩甲骨を柔らかくすればいい」と単純には考えません。
CONTENTS
この記事で分かること
02 / SCAPULOTHORACIC
肩甲骨は、背中に
固定されている骨ではありません。
肩甲骨と胸郭の間は「肩甲胸郭関節」と呼ばれます。
ただし、膝関節や股関節のように骨同士が直接接している
一般的な関節とは少し性質が異なります。
肩甲骨が胸郭上を動くことで成立する、機能的な関節として捉えられています。
肩甲骨は、挙上・下制、内転・外転、
上方回旋・下方回旋、前傾・後傾など、
腕の動きに合わせてさまざまな方向へ動きます。
その動きを支えているのが、
僧帽筋や前鋸筋、菱形筋、肩甲挙筋など、
肩甲骨周囲に存在する複数の筋肉です。
だからこそ重要なのは、
「たくさん動くこと」だけではありません。
必要な位置を保ちながら、
腕の動きに合わせて適切に動けること。
KOMPASでは「可動性」と「安定性」の両方から肩甲骨を考えます。
MOBILITY ≠ EVERYTHING
動けばいい、
ではない。
動く能力と、支える能力。
その両方を見る。
03 / SHOULDER JOINT
腕が上がらないことと、
肩甲骨が硬いことは別です。
「腕が上まで上がらないから、肩甲骨が硬い」
と考えてしまうことがあります。
しかし腕を上げる動作には、
肩甲骨だけではなく肩関節そのものの動きも必要です。
肩関節の可動性が低下していれば、
肩甲骨や胸郭、体幹など別の部位を使って
動きを補おうとすることがあります。
そのため、
「腕が上がらない=肩甲骨が硬い」ではありません。
肩関節なのか、肩甲骨なのか。
あるいはその両方なのか。
さらに他の部位が動きを補っているのか。
実際の動作を見ながら整理する必要があります。
04 / KOMPAS CHECK
動かしたときだけでなく、
支えたときも見る。
KOMPASでは一つの動作だけで身体を判断せず、
条件を変えながら肩甲帯・肩関節・体幹の状態を確認していきます。
QUADRUPED SUPPORT
四つ這いで
身体を支えてもらう
四つ這いになり、両腕で身体を支えてもらいます。
このとき、肩甲骨と胸郭の位置関係や左右差、
肩甲骨の内側縁が大きく浮き上がっていないかなどを確認します。
身体を支える条件で肩甲骨がどのような状態になるかは、
肩甲帯の安定性を考える一つの材料になります。
OVERHEAD REACH
立位で
万歳してもらう
次に、立った状態で両腕を頭上へ上げてもらいます。
肩関節の可動域だけでなく、左右差や肩甲骨の動きも確認します。
「上まで届いたか」だけを見るのではなく、
どのようにその動作を作っているのかを見ることが重要です。
05 / COMPENSATION
肩を見るときに、
腹部や腰部まで見る理由。
万歳をしてもらうとき、KOMPASでは肩だけを見ているわけではありません。
同時に確認するのが、
腹部や腰部にどのような動きが起きているかです。
例えば腕を頭上へ上げたとき、
腰を大きく反ることで見かけ上の動きを作っている場合があります。
腕そのものは上まで到達していても、
その動作を肩関節と肩甲帯だけで作っているとは限りません。
だからこそKOMPASでは、
「上がった・上がらない」だけではなく、
どこが主体となってその動作を作っているのかを見ます。
肩関節の可動性
肩甲骨の動き
胸郭との関係
腹部・腰部の代償
STUDIO KOMPAS PHILOSOPHY
「硬いところを探す」だけで、
身体を見ない。
肩こりがあるから肩甲骨をほぐす。
肩甲骨が硬そうだからストレッチをする。
それが一つの選択肢になることはあります。
ただし、それだけですべてを説明できるわけではありません。
KOMPASが大切にしているのは、
可動性・安定性・協調性・代償動作を分けて考えること。
どこまで動けるのか。
どのように支えているのか。
どこが動きを補っているのか。
複数の動作から身体を見たうえで、
その人に現在必要なトレーニングを考えていきます。
06 / EXERCISE
一つの選択肢として、
腕立て伏せは優秀です。
肩甲帯のトレーニングとして、
KOMPASで選択肢の一つになるのが腕立て伏せです。
腕立て伏せでは、まず身体を一直線に近い状態で保つために
体幹をコントロールする必要があります。
その状態を保ちながら床を押すため、
胸や腕だけではなく、肩甲骨周囲の筋肉も働きます。
特に腕立て伏せの最後にさらに床を押す
「Push-up plus」と呼ばれる方法では、
前鋸筋の活動が高くなることが報告されています。
ただし、腕立て伏せをすれば肩こりが改善する、
という意味ではありません。
現在の筋力や可動域に合わせ、
壁に手をつく方法、膝をつく方法、
通常の腕立て伏せなど負荷を調整していきます。
07 / SUMMARY
肩甲骨だけではなく、
「腕をどう動かしているか」を見る。
08 / FAQ
肩甲骨と肩こりの
よくある質問
Q01肩甲骨が硬いと肩こりになりますか?
肩甲骨の動きだけで肩こりの有無を説明することはできません。
肩関節の可動性、肩甲帯の筋機能、胸郭、体幹、
日常生活など複数の要素を考える必要があります。
Q02肩甲骨をたくさん動かした方がいいですか?
必ずしも大きく動くほど良いとは限りません。
必要な可動性に加えて、身体を支えたり腕を動かしたりするときに
肩甲骨をコントロールできることも重要です。
Q03肩甲骨が浮いていると筋力不足ですか?
見た目だけから特定の筋肉の弱さを断定することはできません。
左右差、腕の動き、支持動作、肩関節の状態などと合わせて評価します。
Q04肩こりには腕立て伏せがおすすめですか?
腕立て伏せは肩甲帯と体幹を使うトレーニングの一つですが、
すべての肩こりに適しているわけではありません。
現在の可動性や筋力に応じて負荷や種目を選択することが大切です。
REFERENCES
参考文献
- Kibler WB, et al. Current Views of Scapular Dyskinesis and its Possible Clinical Relevance.
International Journal of Sports Physical Therapy. 2022. - Panagiotopoulos AC, Crowther IM.
Scapular Dyskinesia, the forgotten culprit of shoulder pain and how to rehabilitate.
SICOT-J. 2019. - Kang FJ, et al.
Serratus Anterior and Upper Trapezius Electromyographic Analysis of the Push-Up Plus Exercise:
A Systematic Review and Meta-Analysis.
Journal of Athletic Training. 2019.
※本記事は一般的な解剖学・運動学的知見と、
STUDIO KOMPASにおけるトレーニング指導上の考え方を分けて記載しています。
痛みやしびれ、外傷後の症状などがある場合は、必要に応じて医療機関へご相談ください。
STUDIO KOMPAS SHIBUYA
「肩甲骨が硬い」で
終わらせない。
肩関節、肩甲骨、胸郭、体幹。
身体を一つの動作として見ながら、
現在の状態に必要なトレーニングを一緒に整理していきます。
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