FOOT SCIENCE / EXERCISE SELECTION
足指を握るだけで、
足裏は鍛えられる?
ショートフットとタオルギャザー。
似ているようで、狙う動きは違う。
扁平足や足裏のトレーニングを調べると、「タオルを足指でたぐり寄せる」「土踏まずを引き上げる」という方法が紹介されます。どちらも足部の運動ですが、同じ刺激を与えるわけではありません。
2026年に発表された比較研究を手がかりに、足底の圧力分布、足部内在筋、運動の選び方を整理します。
QUICK ANSWER
「足指を曲げる」と
「足部を短くする」は、別の運動。
ショートフットは、足指を強く丸めずに前足部と踵を近づけるように足底をコントロールする運動。タオルギャザーやトーカールは、足指の屈曲を使う運動です。
足部全体の短縮を意識するか、足指の曲げ伸ばしを使うか。
2026年の小規模RCTでは、8週間後の片脚立位における足底圧の変化が異なりました。
土踏まずの見た目だけでなく、足趾の動き・荷重・実際の動作を確認します。
※足圧分布の変化は、痛みの改善や傷害予防を直接証明するものではありません。
01 / EXERCISE MECHANICS
2つの運動を、
混同しない。
足部には、足の中に起始と停止を持つ「足部内在筋」と、下腿から足部に伸びる「外在筋」があります。いずれも足部の動きに関わり、どちらか一方だけが働くわけではありません。
ショートフット
足指を強く握らず、足部を短くする意識
動作の特徴
踵と母趾球・小趾球の接地を保ちながら、前足部を踵へ近づけるように足底を軽く収縮させます。足指が強く丸まらないようにします。
確認したいこと
足指を丸めずに動かせるか。足底の接地を失わずに、少し収縮・弛緩できるか。
トーカール・タオルギャザー
足指を曲げて、物をたぐり寄せる動作
動作の特徴
足指を屈曲させ、タオルなどを手前へ引き寄せます。足趾屈筋群が働きますが、筋活動は方法や姿勢によって変わります。
確認したいこと
足指を無理なく曲げ伸ばしできるか。足の甲や足裏に痛みが出ないか。
02 / 2026 RANDOMIZED TRIAL
8週間で、
足裏の圧力はどう変わった?
Suzukiらの研究は、扁平足の特徴を持つ34名をショートフット群とトーカール群に無作為に分け、8週間の自宅運動後に片脚立位の足底圧を比較しました。2025年10月30日にオンライン公開され、2026年1月号に掲載されています。
SUZUKI ET AL. / CLINICAL BIOMECHANICS / 2026
報告された足底圧の変化
母趾・第2趾・前足部内側などの圧力が増加し、中足部の圧力は低下。実施率の高い参加者では、前足部外側にも変化が報告されました。
トーカール群では、主に踵部の足底圧の増加が報告されました。
測定したのは片脚立位での足底圧です。「ショートフットの方が全員の扁平足を治す」「歩行や痛みが必ず改善する」という結果ではありません。
なぜ足底圧を見るのか
足底圧は、立ったときに足裏のどの領域へ圧力が分布するかを示します。足部が荷重をどう受けているかを考える手がかりになりますが、筋力や傷害リスクを一つの数値で判定する指標ではありません。
03 / WHAT REVIEWS SAY
ショートフットは、
扁平足に効くのか。
2024年の系統的レビュー・メタ解析では、ショートフットによる舟状骨下降量(Navicular Drop)や足部姿勢指数(FPI)の改善について、対照群との比較で全体として明確な差は確認されませんでした。一方、6週間を超える介入では一部の指標に改善が見られました。
つまり、足部運動には可能性がありますが、「この運動をすればアーチが必ず上がる」と断定できる段階ではありません。研究の参加者や評価方法、介入期間の違いも結果に影響します。
足部の機能が変わる可能性と、
足の形が必ず変わることは別。
見た目のアーチ高、足底圧、足趾筋力、片脚立位の安定性は、同じ結果指標ではありません。
うまくできない人は、筋力不足?
2025年12月公開の国内の予備研究では、ショートフットをすぐに実施できるかどうかが、足趾把持力や内在筋の大きさだけで説明できない可能性が示されました。動きの理解や筋群の協調も関係すると考えられます。
最初から土踏まずを上手に動かせなくても、それだけで「足の筋肉が弱い」と決めることはできません。
04 / PRACTICAL GUIDE
自宅では、
どう試せばいい?
以下は動作を理解するための一般的な練習例です。研究の介入量をそのまま再現した処方ではありません。痛みがない範囲で、軽い強度から行ってください。
座って足底を接地する
椅子に座り、踵・母趾球・小趾球が床に触れる状態をつくります。指を力いっぱい押し付ける必要はありません。
足指を丸めず、足部を少し短くする
前足部を踵へ引き寄せるように、足裏を軽く収縮させます。小さな動きでも構いません。呼吸を止めずに行います。
ゆっくり戻し、違いを確認する
数秒保持したら脱力します。足指が丸まる、踵が浮く、足がつる場合は強度を下げます。
立位や片脚立位へつなげる
座位でコントロールできるようになったら、両脚立位で荷重の変化を確認します。片脚立位は支えのある安全な環境で行います。
タオルギャザーを選んでもよい?
足指を曲げる運動自体が不要という意味ではありません。足趾の屈曲を練習したい場合には選択肢になります。大切なのは、足部のどの動きを練習したいのかを明確にすることです。
05 / WHOLE BODY
足裏だけを鍛えれば、
動作は変わる?
足部のトレーニングをしたあとに確認したいのは、足だけではありません。片脚立位、スクワット、歩行など、目的に関係する動作の中で足部をどう使えているかです。
接地・足趾の動き
背屈と荷重
運動の協調
歩行・スクワット
足底圧が変わったからといって、膝や股関節の動きが自動的に改善するとは限りません。足部の運動を一つの手段として位置づけ、必要なら別の部位や動作課題にも取り組みます。
06 / STUDIO KOMPAS
方法を選ぶ前に、
身体を知る。
STUDIO KOMPASでは、足の形だけで運動を決めるのではなく、足関節の可動性、荷重したときの動き、股関節や体幹との関係を含めて身体を確認します。
ショートフットもタオルギャザーも、目的に合えば選択肢の一つです。大切なのは、特定の運動を全員に当てはめることではなく、今の身体と目標に合う方法を考えることです。
ASSESS.
SELECT.
MOVE.
FAQ
よくある質問。
ショートフットとタオルギャザー、どちらが効果的ですか?
何を成果とするかで変わります。2026年の小規模研究では、片脚立位の足底圧分布に異なる変化が見られましたが、あらゆる目的で一方が優れると証明されたわけではありません。
扁平足はショートフットで治りますか?
必ず治るとは言えません。研究では足部の指標に変化が見られた条件もありますが、全体として結果は一貫していません。痛みや機能障害がある場合は個別の評価が必要です。
足指がうまく動かないのは筋力不足ですか?
筋力だけでは説明できない場合があります。動作の習熟や筋群の協調も関係し得るため、まずは軽い負荷で動きを確認します。
毎日トレーニングした方がよいですか?
頻度の最適解は目的や負荷、身体の状態で変わります。痛みや強い疲労が出る場合は無理に続けず、量と方法を見直してください。
REFERENCES
参考文献。
- Suzuki M, et al. Comparing the effect of short foot exercise and toe curl exercise on plantar pressure during single-leg standing in individuals with flatfoot: A randomized controlled trial. Clinical Biomechanics. 2026;131:106693. DOI ↗
- Cheng J, et al. Effects of short foot training on foot posture in patients with flatfeet: A systematic review and meta-analysis. Journal of Back and Musculoskeletal Rehabilitation. 2024;37(4):839–851. DOI ↗
- Sota K, et al. Relationship of Physical Factors to the Acceptability and Unacceptability of Short Foot Exercise: A Preliminary Study. Progress in Rehabilitation Medicine. 2025;10:20250040. DOI ↗
- Peters-Dickie JL, et al. The effects of foot core exercises and minimalist footwear on foot muscle sizes, foot strength, and biomechanics: A systematic review and meta-analysis. Clinical Biomechanics. 2025;122:106417. DOI ↗
2026年10月28日時点で確認できる研究に基づく一般向け解説です。研究結果は個人への効果を保証するものではありません。
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