MOVEMENT SCIENCE / SENSORY INTEGRATION

目を閉じると、
なぜふらつく?

バランスは、筋力だけで決まらない。

片脚立ちはできるのに、目を閉じると急に難しくなる。その違いは、身体が姿勢を保つために利用する「感覚情報」を考える入口になります。

STUDIO KOMPAS / 2026.11.04

QUICK ANSWER

目を閉じると、
視覚の手がかりが減る。

立っているとき、身体は目から入る情報だけでなく、足裏や関節・筋からの情報、内耳の前庭感覚などを組み合わせて姿勢を調整しています。

目を閉じると視覚情報が使えなくなるため、ほかの情報への依存度が変化します。ふらつきが増えても、それだけで「体幹が弱い」「足首が悪い」とは判断できません。

01 / THREE INPUTS

姿勢を支える、
3つの情報。

01 / VISION

視覚

周囲の景色や身体と環境の位置関係を把握する手がかり。

02 / SOMATOSENSORY

体性感覚

足裏への圧力や筋・関節の状態など、身体から得られる情報。

03 / VESTIBULAR

前庭感覚

頭の動きや重力方向に関する、内耳からの情報。

「感覚の重みづけ」という考え方

これらは別々に姿勢を制御するのではなく、状況に応じて組み合わされます。床が柔らかいとき、暗い場所、頭を動かしたときなどでは、利用しやすい情報が変わります。

ある情報が使いにくくなると、相対的に別の情報を重視することがあります。これを感覚の再重みづけ(sensory reweighting)と呼びます。単純に筋肉を強くすれば解決する、という説明には足りない理由の一つです。

02 / EVIDENCE

研究では、
何が分かっている?

慢性的な足関節不安定性と視覚依存

Songらの2016年のメタ解析では、慢性的な足関節不安定性のある人が片脚立位で視覚情報をより強く利用する可能性が示されました。ただし、これは特定の集団の結果であり、一般の人が目を閉じて揺れる理由を直接証明するものではありません。

足裏への刺激は万能ではない

Wooらの2017年の系統的レビュー・メタ解析では、足部への刺激方法と姿勢制御の関係が検討されました。効果は刺激方法・対象者・視覚条件などによって異なり、「足裏を刺激すれば必ずバランスが良くなる」とは言えません。

片脚立ちの時間だけでは判断しない

片脚立ちの持続時間は評価の一要素ですが、転倒リスクを単独で正確に判別できるとは限りません。2021年公表の系統的レビューでも、予測精度には限界が示されています。

03 / OBSERVATION

見るべきなのは、
何秒立てたかだけではない。

01

条件を揃える

床・靴・足の位置・視線などをなるべく一定にして比較する。

02

揺れ方を観察する

足首・骨盤・上半身がどう動くか、途中で足をつくか。

03

左右と再現性を見る

一度の結果だけでなく、同じ条件で変化するかを確認する。

04

必要な運動につなげる

立つ、歩く、方向転換するなど、目的とする動作に結びつける。

※目を閉じる片脚立ちは転倒の危険があります。自宅で無理に試さず、必要なら専門家の見守りと安全な環境で実施してください。

04 / KOMPAS PERSPECTIVE

揺れを止める前に、
揺れをどう扱うか。

STUDIO KOMPASでは、姿勢・関節・動作を確認し、目的に合わせて運動を組み立てます。片脚立ちでふらついたとしても、特定の筋肉だけを原因と決めつけず、条件を変えたときの反応や実際の動作を見ます。

OBSERVE.
THEN TRAIN.

身体評価から始めるKOMPASの考え方 →

05 / FAQ

よくある質問。

目を閉じるとふらつくのは異常ですか?

視覚情報が減ることで揺れが増える場合があります。それだけで異常とは判断できません。急なふらつき、めまい、神経症状などがある場合は医療機関へ相談してください。

足裏を鍛えれば解決しますか?

足部の機能は関係しますが、視覚・前庭感覚・全身の運動制御なども関わります。足裏だけで説明することはできません。

バランストレーニングは効果がありますか?

健康成人を対象とした2022年の系統的レビューでは、片脚バランストレーニングによる課題成績の向上が報告されています。ただし、すべてのスポーツ動作や転倒予防に同じ程度転移するとは限りません。

REFERENCES

参考文献

  1. Song K, et al. Increased Visual Use in Chronic Ankle Instability: A Meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2016. DOI
  2. Woo MT, et al. Effects of different lower-limb sensory stimulation strategies on postural regulation. PLOS ONE. 2017. DOI
  3. Marcori AJ, et al. Single Leg Balance Training: A Systematic Review. 2022. DOI
  4. A systematic review of one-legged balance performance and falls risk in community-dwelling adults. PubMed

本記事は一般的な運動科学の情報提供であり、診断・治療を目的としません。

関連記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP