ASYMMETRY / MOVEMENT / STRENGTH

身体の左右差は、
直した方がいい?

右の方が硬い。
左の方が弱い。
スクワットで片側へ寄る。

左右差が見つかると、
「身体が歪んでいる」「左右を揃えなければ」
と考えたくなるかもしれません。

ただし、左右差があることと、
それが問題であることは同じではありません。

RANGE OF MOTION
STRENGTH
MOVEMENT
INDIVIDUAL DIFFERENCE

QUICK ANSWER

左右差がある。
それだけでは問題と決められない。

大切なのは、
「左右差があるか」だけではなく、「何の左右差なのか」を見ること。

関節の可動域に差があるのか。
筋力に差があるのか。
バランス能力に差があるのか。
ある動作だけで差が現れるのか。

これらはすべて同じ「左右差」という言葉で
表現されることがありますが、
身体で起きていることは異なります。

さらに、その差が本人の目的や動作に
実際に影響しているのかまで確認する必要があります。

DIFFERENT DOES NOT ALWAYS MEAN WRONG.

違う。
でも、悪いとは
限らない。

左右を比べることは大切。
でも、左右を完全に同じにすることを
最初からゴールにはしません。

01 / ASYMMETRY

身体に左右差があること自体は、
珍しくありません。

人の身体を左右で比べると、
筋力、関節の可動域、バランス、
動作などに違いが見つかることがあります。

例えば、
右脚では片脚立ちしやすいけれど左脚では不安定、
右の股関節より左の股関節の方が動きやすい、
といった違いです。

左右の筋力差を調べた研究をまとめた報告でも、
ほぼ左右対称に近い人から
15%を超える差がある人まで、
幅広い結果が確認されています。

そのため、

左右差が見つかったという事実だけで、
身体に問題があるとは判断できません。

02 / THRESHOLD

「10%違ったら異常」
と単純には言えない。

左右差について調べる研究では、
「10%」「15%」といった数値を
基準として使っているものがあります。

ただし、複数の研究をまとめて検討した報告では、
こうした10〜15%という基準の中には、
十分な根拠が確認できないものもあると指摘されています。

さらに、
どの種目で測るか、
何を測定するか、
どのように計算するかによっても
左右差の数値は変わります。

つまり、

一つの数字だけで
「正常」「異常」を分けることには注意が必要です。

RESEARCH

左右差には、一律の基準を当てはめにくい。

左右の筋力差について53件の研究をまとめた報告では、
10〜15%を基準にしている研究が多く存在しました。

一方で、その基準の根拠が十分ではないケースもあり、
個人ごとに評価する必要性が指摘されています。

03 / TASK SPECIFIC

動作が変われば、
左右差も変わる。

左右差を見るときに重要なのが、
「何をしているときの差なのか」です。

片脚スクワットでは右が安定していても、
ジャンプでは左の方が高く跳べる、
ということはあり得ます。

実際に、複数の片脚筋力・ジャンプテストを比較した研究では、

測る種目によって左右差の大きさだけでなく、
どちら側が優位かまで変わる

ことが報告されています。

そのため、
一つのテストだけで
「右が弱い人」と決めてしまうのは適切ではありません。

左右差は、
動作によって変わる。

04 / INJURY

左右差があると、
ケガをしやすい?

「左右差があるとケガにつながる」
と説明されることがあります。

しかし現時点では、
それほど単純な関係ではありません。

下半身の左右差とスポーツ障害の関係について
28件の前向き研究をまとめた報告では、
研究によって結果が大きく異なり、
左右差から将来の障害を
一律に予測することは難しいとされています。

また、パフォーマンスについても、
左右差が大きいほど不利になる傾向がみられる能力もあれば、
明確な関係が確認されない能力もあります。


「左右差がある=ケガをする」
「左右差がゼロなら安全」
とは言えません。

05 / SQUAT

スクワットで
片側へずれる。

01
HIP

股関節

左右で股関節の動きやすさが異なると、
しゃがむ過程で左右の動き方が
変わることがあります。

02
ANKLE

足関節

足首の背屈などに左右差がある場合も、
左右でしゃがみ方が変わる可能性があります。

03
STRENGTH

筋力

片側で力を発揮しにくい場合、
両脚動作の中でも
左右の使い方が変わることがあります。

04
CONTROL

動作のコントロール

関節単体では大きな差がなくても、
荷重した動作になると
左右差が現れることがあります。

スクワットで身体が片側へ寄るときに、
すぐ「右のお尻が弱い」などと
一つの原因へ決めることはできません。

股関節・足関節・筋力・体幹、
そして実際の荷重動作を確認しながら
どこで左右差が現れているのかを整理します。

06 / SYMMETRY

左右を完全に同じにすることを、
ゴールにはしない。

左右差が見つかると、
左右をできるだけ同じ数値にしたくなるかもしれません。

しかし、
左右差は測定する動作によって変化し、
同じ人でも優位側が入れ替わる場合があります。

また、ランニングの左右差と
パフォーマンスの関係を調べた研究をまとめた報告でも、
測定項目によって
マイナスの関係、関係なしなど結果が分かれています。

そのため、

左右差をゼロに近づけること自体を
トレーニングの目的にするのではなく、
本人が必要とする動作ができているかを見ることが重要です。

07 / STUDIO KOMPAS

KOMPASでは、
左右差をどう見る?

01
RANGE

関節を見る

股関節や足関節など、
必要な関節の可動性を
左右で確認します。

02
STRENGTH

力を見る

必要に応じて、
片側ずつ力を発揮したときの
違いを確認します。

03
MOVEMENT

動作を見る

スクワットや片脚動作など、
実際に身体を動かしたときの
左右差を確認します。

04
CONTEXT

目的と照らす

見つかった差が、
本人の目的や動作に
本当に関係するのかを考えます。

「右と左が違う」
という情報は、
身体を見るための一つの材料になります。

ただし、
左右差そのものを悪いものとして
消そうとするわけではありません。

例えば、
関節可動域には大きな左右差がないのに、
立ってスクワットすると片側へ寄るのであれば、
荷重時のコントロールなど
別の要素を見る必要があります。

逆に、
実際の動作に問題がなく、
本人の目的にも影響していない左右差であれば、
数字を揃えることの優先度は高くない場合もあります。


左右差を探すことではなく、
その差が何を意味しているのかを考える。

KOMPASでは、
その視点からトレーニングを組み立てます。

REFERENCES

参考文献

  1. Parkinson AO, Apps CL, Morris JG, Barnett CT, Lewis MGC.
    The Calculation, Thresholds and Reporting of Inter-Limb Strength Asymmetry:
    A Systematic Review.
    J Sports Sci Med. 2021;20(4):594-617.
  2. Bishop C, Lake J, Loturco I, et al.
    Interlimb Asymmetries:
    The Need for an Individual Approach to Data Analysis.
    J Strength Cond Res. 2021;35(3):695-701.
  3. Guan Y, Bredin SSD, Taunton J, et al.
    Association between Inter-Limb Asymmetries in Lower-Limb Functional
    Performance and Sport Injury:
    A Systematic Review of Prospective Cohort Studies.
    J Clin Med. 2022;11(2):360.
  4. Fox KT, Pearson LT, Hicks KM.
    The effect of lower inter-limb asymmetries on athletic performance:
    A systematic review and meta-analysis.
    PLoS One. 2023;18(6):e0286942.
  5. D’Hondt J, Chapelle L, Bishop C, et al.
    Association Between Inter-Limb Asymmetry and Determinants of
    Middle- and Long-distance Running Performance in Healthy Populations:
    A Systematic Review.
    Sports Med Open. 2024;10:127.

本記事では、研究で報告されている一般的な知見と、
STUDIO KOMPASで身体を評価・トレーニングする際の考え方を
分けて記載しています。
左右差の数値のみから個人の身体状態、障害リスク、
トレーニングの必要性を判断するものではありません。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修

山岸 慎

STUDIO KOMPAS創業者・パーソナルトレーナー|NSCA-CSCS


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LOOK BEYOND THE DIFFERENCE.

左右差を、
見つけて終わらない。

関節を見る。
力を見る。
動作を見る。
そして、その差が何を意味するのかを見る。

STUDIO KOMPASでは、
現在の身体と目的に合わせて
必要なトレーニングを考えます。

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