MOVEMENT SCIENCE / SQUAT
スクワットの足幅、
全員同じでいい?
肩幅が正解とは限らない。足幅とつま先の向きが、動作を変える。
スクワットで「足は肩幅、つま先は正面」と教わることがあります。しかし、骨格や可動域、目的が違えば、取りやすい姿勢も変わります。研究と動作評価の両面から整理します。
深いスクワットに、股関節の可動域が関わる理由
スクワットの深さは、脚の筋力だけで決まるものではありません。股関節の可動域が十分でない場合、骨盤が早い段階で後傾し、動作が止まりやすくなります。その結果、腰への負担が増える場合があります。
Demuraらの研究では、股関節の可動域とスクワットの深さとの関係が報告されています。可動域が広い人は深くしゃがみやすく、狭い人は途中で止まりやすい傾向が示されています。
深さは「どれだけ下げられたか」だけでなく、腰の形を保ったまま下げられたかどうかで判断します。腰が丸くなる場合は、それ以上下げないことが安全です。
足幅とつま先の向きが、動作を変える
足幅を変えると、股関節や膝関節、足関節への負担の配分が変わります。Lorenzettiらの研究では、足幅とつま先の向きによって、関節の角度や筋活動が変化することが報告されています。
狭い足幅
膝が前に出やすく、足首の可動域が求められます。体幹の安定性も必要です。
中間の足幅
多くの人にとって、動作を観察しやすい基本の幅です。骨盤の動きを確認しやすい位置です。
広い足幅
股関節の内転と外旋が求められます。骨盤の安定が保てる範囲で選択します。
つま先の向きも、同じように重要です。つま先をやや外に向けると、膝がつま先の方向へ進みやすくなります。つま先を正面に向けたまま無理に深くしゃがむと、膝が内側に入りやすくなる場合があります。
深さの目安と、安全な進め方
深さの目安は、競技や目的によって異なります。一般的な目安として、太ももが床と平行になる位置を基準に考えることがあります。ただし、腰の形が保てない場合は、その手前で止めることが大切です。
股関節の可動域を確認する
仰向けで膝を胸に引き寄せ、股関節がスムーズに動くか確認します。左右差がある場合は、狭い側に合わせます。
足幅とつま先の向きを調整する
肩幅を基準に、少しずつ広げたり狭めたりします。膝がつま先の方向へ進み、腰の形が保てる位置を探します。
深さを段階的に増やす
腰の形が保てる範囲で、少しずつ深くします。痛みが出る場合は、深さや足幅を見直します。
MOVEMENT SCIENCE / SQUAT
腰の形を保つことが、深さより先にある
深いスクワットを目指すとき、多くの人が「もっと下げなければ」と考えます。しかし、腰が丸くなったまま下げると、腰への負担が増える場合があります。
深さは、腰の形を保てる範囲で決める。
この考え方は、トレーニングの安全性と継続性につながります。深さよりも、まず腰の形を保てる範囲で動作を安定させることが大切です。
料金やセッションの内容については、料金ページをご覧ください。
評価の進め方
スクワットの評価では、まず股関節の可動域を確認します。次に、足幅とつま先の向きを調整し、膝の動きと腰の形を観察します。
確認するポイント
- 股関節の可動域に左右差がないか
- 膝がつま先の方向へ進んでいるか
- 腰の形が保たれているか
- 足裏全体で床を押せているか
評価は、1回の動作だけで判断しません。複数回の動作を通じて、安定して再現できるかどうかを確認します。
よくある質問
Q. 足幅は広いほうがいいですか?
A. 広いほうがいいとは限りません。股関節の可動域や骨格、目的によって、取りやすい幅は変わります。腰の形が保てる範囲で選択します。
Q. つま先は正面に向けたほうがいいですか?
A. つま先を正面に向けたまま深くしゃがむと、膝が内側に入りやすくなる場合があります。膝がつま先の方向へ進む範囲で、やや外に向けると安定しやすくなります。
Q. 深くしゃがめないのは、筋力不足ですか?
A. 筋力だけでなく、股関節の可動域や足関節の可動域、動作の習熟度も関係します。まず可動域と動作の形を確認することが大切です。
参考文献
- Demura S, Yamaji S, et al. Relationships between range of motion and squat depth. BMC Musculoskeletal Disorders, 2009;10:147.
- Lorenzetti S, et al. Effect of stance width and foot angle on squat biomechanics. Journal of Strength and Conditioning Research, 2018;32(4):1121-1131.
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状やトレーニングの判断については、専門家にご相談ください。
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