TRAINING SCIENCE / MUSCLE SORENESS
筋肉痛がないと、
筋トレの効果はない?
痛みがない。
それだけで、効果は判断できない。
筋トレをした翌日、
筋肉痛があると
「昨日はしっかり鍛えられた」
と感じることがあります。
反対に、筋肉痛がないと
「負荷が軽すぎたのかな」
「筋肉に効いていなかったのかな」
と不安になるかもしれません。
しかし、筋肉痛の有無と
トレーニングの効果は同じものではありません。
この記事では、
筋肉痛と筋肥大の関係を科学的に整理し、
トレーニングの効果を
何によって確認すればよいのか
を解説します。
QUICK ANSWER
筋肉痛は、
筋肥大の必須条件ではない。
筋肉痛がなくても、
トレーニングによって筋力や筋量が
向上する可能性はあります。
また、強い筋肉痛があるからといって、
必ずしも大きな筋肥大が起こるわけではありません。
筋肉痛
運動後に感じる痛みや圧痛など。
トレーニングの効果そのものを
測定する指標ではありません。
トレーニング適応
筋力、筋量、動作能力などに
時間をかけて生じる変化です。
SORENESS
IS NOT PROGRESS.
痛みの強さと、
成長の大きさを同じにしない。
01 / DELAYED ONSET MUSCLE SORENESS
そもそも、
筋肉痛とは何か。
トレーニング後に遅れて現れる筋肉痛は、
遅発性筋肉痛
(Delayed Onset Muscle Soreness:DOMS)
と呼ばれます。
慣れていない運動や、
普段より負荷の大きい運動のあとに
生じることがあります。
特に、筋肉が伸ばされながら力を発揮する
エキセントリック収縮を多く含む運動では、
筋肉痛が現れる場合があります。
例えば、スクワットで身体を下ろす局面や、
ダンベルをゆっくり下ろす局面などです。
DOMSは一般に運動後しばらくして現れ、
24〜72時間程度の間に強く感じられることがあります。
ただし、出現時期や程度には個人差があります。
筋肉痛は筋損傷に伴って生じることがありますが、
痛みの強さが筋損傷の大きさを
正確に示しているわけではありません。
02 / MUSCLE HYPERTROPHY
筋肉痛が強いほど、
筋肉は大きくなる?
筋肉痛が強いほど筋肥大しやすい、
という単純な関係は確認されていません。
2002年の研究では、
エキセントリック運動後の筋肉痛と
筋損傷を示す他の指標との関係が調べられました。
その結果、
筋肉痛の程度は
筋損傷の大きさを十分に反映するものではない
と報告されています。
さらに2016年の研究では、
トレーニング開始初期に筋損傷が大きく、
その後、継続によって筋損傷が軽減していく様子が
観察されました。
この研究では、
筋損傷が大きかった初期の反応よりも、
損傷が軽減した後の筋タンパク質合成反応が
筋肥大と関連していました。
筋肉を傷つけることが、
トレーニングの目的ではない。
筋肥大は、継続的なトレーニングに対する
身体の適応として生じます。
そのため、毎回できるだけ強い筋肉痛を
起こそうとする必要はありません。
ただし、
これらの研究から
「筋肉痛がない方が必ず筋肥大する」
と結論づけることもできません。
筋肉痛はトレーニング後に起こり得る反応ですが、
その有無だけで効果を判定できない、
ということです。
03 / REPEATED BOUT EFFECT
同じ筋トレを続けると、
筋肉痛が来なくなる理由。
筋トレを始めたばかりの頃は
強い筋肉痛があったのに、
同じメニューを続けるうちに
痛みを感じにくくなることがあります。
これには、
「反復効果(Repeated Bout Effect)」
と呼ばれる適応が関係します。
慣れていないエキセントリック運動を行うと、
筋肉痛や一時的な筋力低下が
大きく現れる場合があります。
しかし、同様の運動を繰り返すと、
その後の筋損傷や筋肉痛が
軽減することがあります。
NEW STIMULUS
慣れていない運動
新しい動作や負荷に対して
筋肉痛が現れることがある。
REPETITION
継続する
同じ運動を繰り返し、
身体がその刺激に適応していく。
ADAPTATION
筋肉痛が軽減する
同じ運動でも
筋肉痛が小さくなる場合がある。
2023年の系統的レビュー・メタ解析でも、
複数関節を使う運動を繰り返した際に、
2回目の方が筋肉痛や筋損傷関連指標が
小さくなる傾向が報告されています。
したがって、
筋肉痛が来なくなったことは、
トレーニングへの適応が進んだ結果かもしれません。
ただし、筋肉痛が減ったことだけで
筋力や筋量が増えたと判断できるわけでもありません。
04 / TRAINING PROGRESS
では、筋トレの効果を
何で判断する?
トレーニングの効果は、
何を目的としているかによって
確認する項目が変わります。
筋力を高めたい人と、
筋肉量を増やしたい人。
動作を習得したい人では、
同じ数字だけを追う必要はありません。
筋力
同じ条件で、
以前より大きな力を発揮できるか。
重量や推定最大筋力などを確認します。
回数・動作能力
同じ重量・フォーム・可動域で、
以前より多く反復できるか。
動作を安定して行えるかを確認します。
筋量・身体組成
筋肥大が目的なら、
数週間から数ヶ月単位で
身体組成や周径などの変化を確認します。
回復と継続
トレーニングの質を維持できるか。
疲労が蓄積しすぎていないか。
継続可能な内容かを確認します。
MEASURE
WHAT MATTERS.
筋肉痛ではなく、
目的に対する変化を確認する。
例えば、ベンチプレスを
60kgで8回行っていた人が、
同じフォーム・可動域・運動条件で
10回行えるようになったとします。
この場合、
筋肉痛がなくても
トレーニング能力の変化を確認できます。
ただし、反復回数が増えたことだけで
筋肥大したと断定することはできません。
筋力や運動技能など、
複数の要素が関係するためです。
05 / LOAD MANAGEMENT
筋肉痛がないなら、
負荷を増やすべき?
筋肉痛がないという理由だけで、
重量やセット数を増やす必要はありません。
負荷を変更する際には、
現在の運動がどの程度の努力を必要としているか、
フォームや可動域を維持できているか、
次のセッションまでに回復できているかを
確認します。
負荷を調整するときの確認項目
設定した回数・セットを実施できているか
フォームと可動域を維持できているか
目標に対して十分な努力度があるか
次回のトレーニングまでに回復できているか
数週間単位で能力や身体に変化があるか
重量を増やすことだけが
トレーニングの進歩ではありません。
反復回数、
セット数、
動作の精度、
可動域、
休息時間なども
トレーニングを構成する要素です。
これらを目的に合わせて調整することが、
筋肉痛を追い求めることよりも重要です。
「筋肉痛がないから重くする」ではなく、
今の負荷が目的に対して適切かを確認する。
06 / RECOVERY
筋肉痛がある日は、
筋トレを休むべき?
筋肉痛があるときに
必ずすべての運動を休む必要がある、
というわけではありません。
ただし、痛みの程度や
筋力・可動域の低下、
疲労の状態によって
運動内容を調整する必要があります。
軽い筋肉痛で普段どおり動ける場合と、
強い痛みで階段の上り下りが難しい場合では、
同じ判断にはなりません。
軽い筋肉痛
動作に大きな支障がなければ、
ウォーミングアップで状態を確認し、
必要に応じて運動を調整します。
強い筋肉痛
動作や筋力に明らかな影響がある場合は、
同じ部位への高負荷トレーニングを控え、
回復を優先します。
MEDICAL NOTE
通常の筋肉痛として
扱わない方がよい症状。
想定以上に強い筋肉痛、
著しい筋力低下、
筋肉の強い腫れ、
茶色やコーラ色の尿などがある場合は、
速やかに医療機関を受診してください。
これらは横紋筋融解症などで
見られることがある症状です。
症状だけで自己診断することはできません。
07 / STUDIO KOMPAS
「効いた感じ」ではなく、
目的に対する変化を見る。
トレーニングでは、
強い疲労感や筋肉痛があると
達成感を得られることがあります。
しかし、身体づくりにおいて
大切なのは、
毎回強い刺激を感じることだけではありません。
STUDIO KOMPASでは、
現在の身体と目的を確認したうえで
トレーニングを組み立てます。
筋力を高めたいのか。
筋肉量を増やしたいのか。
動作を習得したいのか。
運動を生活の中で継続したいのか。
目的が異なれば、
確認すべき変化も変わります。
筋肉痛の有無だけではなく、
重量・回数・動作・身体の状態を
必要に応じて確認しながら、
トレーニングを調整していきます。
LISTEN
目的を知る
CHECK
現在地を確認する
TRAIN
目的に合わせて動く
REVIEW
変化を確かめる
FAQ
よくある質問。
Q. 筋肉痛がなくても筋肉は成長しますか?
はい。筋肉痛は筋肥大の必須条件ではありません。
適切なトレーニングを継続することで、
筋肉痛が少なくても筋肥大が起こる可能性があります。
Q. 筋肉痛が来なくなったら負荷を増やすべきですか?
筋肉痛がないことだけを理由に
負荷を増やす必要はありません。
現在の重量・回数・努力度・フォーム・回復状況を
確認して判断します。
Q. 毎回筋肉痛になるのは良いことですか?
毎回筋肉痛になる必要はありません。
強い筋肉痛によって次の運動に支障が出る場合は、
負荷や運動量の調整が必要になることがあります。
Q. 筋肉痛がない場合、何を記録すればよいですか?
重量、反復回数、セット数、
フォームや可動域、主観的な努力度などを
記録すると、継続的な変化を確認しやすくなります。
Q. 筋肉痛がある日にストレッチしてもよいですか?
痛みを強めない範囲で身体を動かすことは
選択肢の一つです。
ただし、強く伸ばせば回復が早まるとは限りません。
症状が強い場合は無理をしないでください。
REFERENCES
参考文献・公的資料
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Nosaka K, Newton M, Sacco P.
Delayed-onset muscle soreness does not reflect
the magnitude of eccentric exercise-induced muscle damage.
Scand J Med Sci Sports. 2002;12(6):337-346.
DOI ↗
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Damas F, et al.
Resistance training-induced changes in integrated
myofibrillar protein synthesis are related to hypertrophy
only after attenuation of muscle damage.
J Physiol. 2016;594(18):5209-5222.
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Damas F, Libardi CA, Ugrinowitsch C.
The development of skeletal muscle hypertrophy through
resistance training: the role of muscle damage and
muscle protein synthesis.
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Doma K, Matoso B, Protzen G, et al.
The Repeated Bout Effect of Multiarticular Exercises
on Muscle Damage Markers and Physical Performances:
A Systematic Review and Meta-Analyses.
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J Phys Fitness Sports Med. 2026;15(5):135-150.
DOI ↗
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Centers for Disease Control and Prevention.
Signs and Symptoms of Rhabdomyolysis.
January 14, 2025.
CDC ↗
本記事では、研究に基づく一般的な知見と、
STUDIO KOMPASにおけるトレーニングの考え方を
分けて記載しています。
個別の症状の診断や治療を目的とするものではありません。
STUDIO KOMPAS / SHIBUYA
TRAIN.
OBSERVE.
PROGRESS.
痛みを追うより、
変化を確かめる。
トレーニングは、
毎回強い筋肉痛をつくることが目的ではありません。
現在の身体と目的に合わせて運動を選び、
その変化を確かめながら続けていく。
STUDIO KOMPASでは、
一人ひとりの生活や考え方を大切にしながら、
トレーニングをサポートしています。
神泉駅 徒歩約5分
60分 9,000円(税込)
入会金・月会費 0円
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