TRAINING SCIENCE / WARM-UP

筋トレ前の
ウォームアップ。
何をする?

身体を温めるだけではない。
動くための準備を考える。

筋トレを始める前に、
ストレッチをした方がよいのか。

5分ほど身体を動かせば十分なのか。
それとも、もっと時間をかけるべきなのか。

ウォームアップは、
トレーニングの前に行う準備運動です。

しかし、
その目的は単に身体を温めることだけではありません。

これから行う運動に対して、
身体がどの程度準備できているか。

関節は必要な範囲で動くか。
目的の動作を行えるか。
扱う重量に対応できるか。

この記事では、
2026年の国際専門家コンセンサスと
最新の研究レビューをもとに、
筋トレ前のウォームアップについて整理します。

WARM-UP
MOBILITY
STRENGTH
PERFORMANCE

QUICK ANSWER

ウォームアップは、
これから行う運動への準備。

筋トレ前のウォームアップでは、
全身を軽く動かすことに加え、
その日に行う種目に必要な動作を
段階的に確認する方法があります。

ストレッチだけで完結させる必要はありません。

また、
全員が同じ時間、
同じメニューを行う必要もありません。

01 / GENERAL


身体を動かす

軽い有酸素運動などで、
全身を徐々に活動状態へ移行させる。

02 / MOVEMENT


関節を動かす

その日の種目に必要な可動域や
動作の感覚を確認する。

03 / SPECIFIC


種目を練習する

軽い重量から始め、
メインセットの動作へ段階的に近づける。


PREPARE
TO MOVE.

何分行ったかではなく、
何の準備ができたか。

01 / DEFINITION

ウォームアップとは、
何のために行うもの?

ウォームアップは、
運動や競技に向けて
身体を準備するための活動です。

軽いジョギングやエアロバイク、
関節を動かす運動、
ストレッチ、
実際の種目に近い動作などが含まれます。

ウォームアップによって、
筋温や身体の活動状態、
運動に対する準備度が変化することがあります。

ただし、
身体が温まったことだけで
すべての準備が整ったとは限りません。

例えば、スクワットの場合

軽く歩いて身体が温まっても、
そのまま高重量のスクワットを
十分に行えるとは限りません。

しゃがむ動作を確認し、
徐々に重量を増やすことで、
その日の動作や負荷への反応を
確かめることができます。

つまり、
ウォームアップには
全身的な準備と
種目に特有の準備があります。

KEY POINT

温まることと、
動作の準備ができることは同じではない。

これから行う運動の内容によって、
必要なウォームアップは変わります。

02 / INTERNATIONAL CONSENSUS 2026

2026年の研究では、
どう整理されている?

2026年7月20日にオンライン公表された
国際専門家コンセンサスでは、
ウォームアップの定義や構造について
検討が行われました。

この研究には、
12か国から23名の専門家が参加しています。

122項目について検討され、
72項目で80%以上の合意が得られました。

その中では、
ウォームアップを
目的を持った準備活動として位置づけています。

また、
一般的な運動、
種目に特有の運動、
必要に応じたコンディショニング活動を
組み合わせる構造が提示されています。


RESEARCH / 2026


INTERNATIONAL EXPERT CONSENSUS

23
専門家
12
参加国
72
合意項目

重要なのは、
ウォームアップを一つの決まった方法として
扱っていないことです。

実施する競技や運動、
個人の状態によって、
内容を調整する必要があるとしています。

筋トレではどう考える?

筋トレの場合、
ウォームアップを
すべての人に共通するストレッチメニューとして
固定する必要はありません。

スクワットを行う日と、
ベンチプレスを行う日では、
準備したい動作が異なります。

また、
軽い運動を行う場合と
最大筋力に近い重量を扱う場合でも、
必要な準備は変わります。

ただし、
このコンセンサスは
主にスポーツのウォームアップを対象としたものです。
一般的な筋トレ初心者に対する
唯一の最適手順を示したものではありません。

03 / STRETCHING

筋トレ前のストレッチは、
逆効果になる?

筋トレ前のストレッチについては、
静的ストレッチと
動的ストレッチを分けて考える必要があります。

静的ストレッチ

静的ストレッチは、
筋肉を伸ばした状態で
一定時間保持する方法です。

例えば、
太ももの裏側を伸ばした状態で
30秒間保持するような方法です。

動的ストレッチ

動的ストレッチは、
身体を動かしながら
筋肉や関節を動かす方法です。

脚を前後に振る運動や、
肩を回す運動などが代表例です。

STATIC STRETCHING

静的ストレッチ

伸ばした位置で保持する。

主な特徴
保持する
検討される目的
可動域の確保

DYNAMIC STRETCHING

動的ストレッチ

動きながら可動域を使う。

主な特徴
動かす
検討される目的
動作への準備

静的ストレッチは避けるべき?

2016年の系統的レビューでは、
静的ストレッチを長時間行った直後に、
筋力などのパフォーマンスが
一時的に低下する可能性が報告されました。

特に、
一つの筋群に対して60秒以上行う条件では、
60秒未満の条件よりも
低下が大きい傾向が示されています。

ただし、
これは静的ストレッチが
常に悪いという意味ではありません。

2024年の系統的レビュー・メタ解析では、
静的ストレッチによる筋力低下は、
特定の最大筋力テストで確認される一方、
ジャンプやスプリントなどでは
実践上の影響が小さい場合もあると報告されています。

また、
静的ストレッチのあとに
動的な活動を行うことで、
筋力への一時的な悪影響が
軽減される可能性も示されています。

RESEARCH INTERPRETATION

「筋トレ前の静的ストレッチは絶対禁止」
という結論ではない。

ストレッチの種類、
実施時間、
その後の活動、
目的とするパフォーマンスによって
結果は異なります。

特に最大筋力を発揮する直前には、
長時間の静的ストレッチだけで
ウォームアップを終える方法は
慎重に考える必要があります。

04 / PRACTICAL FLOW

筋トレ前の準備を、
3つに分けて考える。

ここからは、
研究で示された考え方を参考にした
実践例を紹介します。

以下はすべての人に共通する
必須の順番ではありません。

実施する種目や
その日の身体の状態によって
内容を調整してください。

01

GENERAL WARM-UP

全身を軽く動かす

ウォーキングやエアロバイクなどで、
身体を徐々に活動状態へ移行させます。

強い疲労を生じさせることが
目的ではありません。

02

MOVEMENT PREPARATION

必要な関節と動作を確認する

その日に行う種目に合わせて、
関節の動きや可動域を確認します。

例えばスクワットなら、
股関節・膝・足関節を使った
しゃがむ動作を確認します。

03

SPECIFIC WARM-UP

実際の種目を軽い重量から行う

メインセットで行う運動を、
軽い重量から段階的に練習します。

フォームや重量の感覚を確認しながら、
目的とする負荷へ近づけます。


IMPORTANT

ウォームアップで疲れ切る必要はありません。

メインセットで目的に合った運動を行えるよう、
準備と疲労のバランスを考えます。

05 / EXERCISE SPECIFIC

スクワットとベンチプレス。
準備は同じでよい?

2026年2月2日にオンライン公表された
スコーピングレビューでは、
筋力トレーニングのウォームアップと
その後のパフォーマンスが検討されました。

このレビューでは、
ウォームアップに関する19研究と、
再ウォームアップに関する1研究が
取り上げられています。

研究対象は主に
筋力トレーニング経験のある男性です。

結果として、
段階的に負荷を上げるウォームアップが、
一部の条件で最大筋力、
バーベルの挙上速度、
反復回数などに
有利となる可能性が示されました。

EXERCISE 01

SQUAT

スクワット

STEP 01

自重でしゃがむ動作を確認

STEP 02

軽い重量でフォームを確認

STEP 03

重量を段階的に増やす

STEP 04

メインセットへ移行

EXERCISE 02

BENCH PRESS

ベンチプレス

STEP 01

肩・胸郭の動きを確認

STEP 02

軽い重量で挙上動作を確認

STEP 03

重量を段階的に増やす

STEP 04

メインセットへ移行

重量の上げ方は?

例えば、
60kgをメインセットで扱う場合、
いきなり60kgから始めるのではなく、
軽い重量から段階的に上げる方法があります。

ただし、
何kgから始めるべきか、
何セット必要かは、
最大筋力や運動経験、
その日の状態によって変わります。

また、
ウォームアップセットで
毎回限界まで反復する必要はありません。

メインセットのための準備であることを
忘れないようにしましょう。

06 / DURATION

ウォームアップは、
何分必要?

ウォームアップは
5分、10分、15分など、
時間を基準に紹介されることがあります。

しかし、
すべての人に共通する
最適な時間が確立されているわけではありません。

2026年の国際専門家コンセンサスでも、
競技や個人の状態によって
ウォームアップを調整する考え方が示されています。

そのため、
時間だけで判断するのではなく、
実際に行う運動への準備が
どの程度整っているかを確認します。

CASE 01

比較的軽い運動

軽い全身運動と
種目の動作確認を中心に、
必要な準備を行います。

CASE 02

高重量のトレーニング

軽い重量から
複数段階で負荷を上げ、
動作や重量への反応を確認します。

CASE 03

朝や身体が動きにくい日

その日の感覚を確認しながら、
必要に応じて準備の内容や時間を調整します。

終了を判断する目安

ウォームアップを終える際には、
次のような点を確認できます。

01

目的とする動作を行えるか

02

必要な可動域を使えているか

03

重量に対する感覚を確認できたか

04

強い疲労を生じさせていないか

05

痛みや違和感がないか

IMPORTANT

上記は実践的な確認項目であり、
科学的に検証された
一律の終了判定基準ではありません。

07 / INJURY PREVENTION

ウォームアップで、
ケガは防げる?

ウォームアップは、
ケガを防ぐために重要だと
説明されることがあります。

しかし、
ウォームアップを1回行ったことによって
直後の傷害リスクがどれだけ下がるかは、
十分に明らかになっていません。

2026年の国際専門家コンセンサスでは、
ウォームアップに含まれる運動が
長期的な傷害リスク低減に役立つ可能性を認めつつ、
1回のウォームアップによる
即時的な傷害予防効果を支持する根拠は
確立していないと整理しています。

2026年10月11日の研究レビュー

2026年10月11日に公表された
スコーピングレビューでは、
ウォームアップに関する964研究が整理されました。

その結果、
ジャンプ、スプリント、
筋力やパワーなど、
短期的なパフォーマンスを扱う研究が多い一方、
実際の傷害発生を評価した研究は
相対的に少ないことが報告されています。

これは、
ウォームアップに傷害予防効果がないと
証明されたことを意味しません。

傷害予防を目的とする
継続的な神経筋トレーニングプログラムと、
運動直前のウォームアップは
区別して考える必要があります。

EVIDENCE NOTE

パフォーマンスへの影響と、
傷害予防の効果は別の問題。

「ウォームアップをしたから
ケガをしない」と断定することはできません。

運動経験、
負荷設定、
疲労、
動作、
過去の傷害なども
考慮する必要があります。

08 / STUDIO KOMPAS

準備運動も、
身体と目的から考える。

STUDIO KOMPASでは、
トレーニングを一つの方法に
当てはめるのではなく、
現在の身体と目的を確認しながら
運動を組み立てます。

ウォームアップについても、
単に決まったストレッチを
行うことが目的ではありません。

これからどのような運動を行うのか。

現在の身体で、
どのような動きができるのか。

その運動を行うために、
何を準備する必要があるのか。

そうした点を確認することが、
トレーニングを考えるうえで重要です。

身体を温めることだけでなく、
実際の動作につながる準備を考える。

その日の身体と目的に合わせて、
必要な方法を選んでいきます。

01
ASSESS
現在の身体を確認
02
PREPARE
必要な準備を行う
03
TRAIN
目的に合った運動
04
REVIEW
反応を確認する

FAQ

よくある質問。

筋トレ前のウォームアップは何分必要ですか?

全員に共通する最適な時間は
確立されていません。
行う種目や重量、
その日の身体の状態に応じて調整します。

筋トレ前に静的ストレッチをしてはいけませんか?

必ずしも禁止する必要はありません。
ただし、長時間の静的ストレッチを
最大筋力発揮の直前に行う場合には、
一時的な筋力低下の可能性があります。

動的ストレッチだけで十分ですか?

動的ストレッチは準備の一つですが、
それだけで十分とは限りません。
高重量を扱う場合などは、
実際の種目を軽い重量から行う
ウォームアップも検討します。

筋トレ前に有酸素運動は必要ですか?

軽い有酸素運動は
全身的な準備の選択肢です。
ただし、必ず一定時間行わなければならない
という意味ではありません。

ウォームアップでケガを防げますか?

1回のウォームアップによる
即時的な傷害予防効果は
十分に確立されていません。
一方、継続的な神経筋トレーニングなど、
傷害予防を目的とするプログラムには
別の研究があります。

REFERENCES

参考文献

  1. Boullosa D, et al.
    International Expert Consensus on Warm-Up
    Protocols for Athletes: A Delphi Study.
    Int J Sports Physiol Perform. 2026.

    PubMed ↗
  2. Neves PP, et al.
    Acute Effects of Resistance Training Warm-Up
    and Re-Warm-Up on Dynamic Strength Performance:
    A Scoping Review.
    Journal of Science in Sport and Exercise. 2026.

    DOI ↗
  3. Bruno J, et al.
    Mapping Research on Warm-Up in Athletes:
    A Scoping Review with Evidence Gap Map.
    Sports Medicine – Open. 2026;12:154.

    DOI ↗
  4. Behm DG, et al.
    Acute effects of muscle stretching on physical
    performance, range of motion, and injury incidence
    in healthy active individuals:
    a systematic review.
    Appl Physiol Nutr Metab. 2016.

    PubMed ↗
  5. Warneke K, Lohmann LH.
    Revisiting the stretch-induced force deficit:
    A systematic review with multilevel
    meta-analysis of acute effects.
    J Sport Health Sci. 2024.

    DOI ↗

本記事では、
研究で報告された知見と
STUDIO KOMPASにおける
トレーニングの考え方を
区別して記載しています。

紹介している実践例は、
すべての人に対する
最適な運動方法を保証するものではありません。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修

山岸 慎

STUDIO KOMPAS創業者・パーソナルトレーナー
|NSCA-CSCS

STUDIO KOMPAS / SHIBUYA

MOVE
WITH
PURPOSE.

自分の身体から、
トレーニングを考える。

STUDIO KOMPASでは、
一人ひとりの身体や目的、
生活に合わせて
トレーニングを組み立てています。

運動初心者から
トレーニング経験者まで。

まずは現在の身体を確認するところから
始めてみてください。

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