TRAINING SCIENCE / BREATHING

筋トレ中の呼吸は、
いつ吸って、
いつ吐く?

呼吸のタイミングを知る。
でも、すべての種目を
一つのルールで考えない。

筋トレの呼吸法
吸う・吐くタイミング
腹圧
息止め

QUICK ANSWER

基本は、
力を発揮するときに吐く。

一般的な筋力トレーニングでは、
重さに逆らって動かす局面で息を吐き、
元の位置へ戻す局面で息を吸う方法が、
初心者にも取り入れやすい基本形です。

ただし、高重量を扱う場合には、
体幹を安定させるために
呼吸の方法を変えることがあります。

大切なのは、
「吸う・吐く」の順番だけではなく、
扱う重量、動作、身体の状態に応じて
呼吸を選ぶことです。

01 / EXHALE
力を発揮するとき

基本は息を吐く。
無理に強く吐き切る必要はありません。

02 / INHALE
戻すとき

次の動作に向けて吸う。
呼吸のリズムを保ちます。

03 / BRACING
高重量では別の判断も

体幹の安定性と循環器系への負担を
合わせて考えます。


BREATHING IS
PART OF MOVEMENT.

呼吸は、フォームから切り離された
独立したルールではありません。

01 / BASIC PRINCIPLE

筋トレ中の呼吸は、
なぜ大切なのか。

筋力トレーニングでは、
筋肉が力を発揮するだけでなく、
体幹を安定させながら
関節を動かす必要があります。

呼吸に関係する横隔膜や胸郭、
腹部の筋群は、
身体を動かす際の体幹の働きとも
関係しています。

また、呼吸の仕方によって
胸腔内圧や腹腔内圧、
運動中の血圧反応が変わることも
報告されています。

「持ち上げるときに吐く」は、
分かりやすい基本形。

例えば、スクワットで立ち上がるとき、
ベンチプレスでバーを押し上げるとき、
ラットプルダウンでバーを引き下げるとき。

こうした力を発揮する局面で
息を吐く方法は、
呼吸を止め続けないための
実践的な目安になります。

ただし、これは
あらゆる種目・重量に共通する
絶対的な規則ではありません。

IMPORTANT

呼吸のタイミングだけで、
トレーニング効果は決まらない。

筋力や筋肥大には、
負荷、反復回数、セット数、
継続期間なども関係します。
呼吸はトレーニングを構成する
一つの要素として考えます。

02 / EXERCISE GUIDE

種目別に見る、
吸う・吐くタイミング。

以下は、比較的軽い負荷から
中程度の負荷で行う場合の
基本的な呼吸例です。

01 / SQUAT

スクワット

下半身のトレーニング

吸う

しゃがむ局面

吐く

立ち上がる局面

高重量では、体幹の安定性を
優先した呼吸方法が用いられることもあります。

02 / BENCH PRESS

ベンチプレス

胸・肩・上腕のトレーニング

吸う

バーを胸へ下ろす局面

吐く

バーを押し上げる局面

呼吸に気を取られて
肩や胸郭の位置が大きく崩れないよう、
軽い重量から練習します。

03 / LAT PULLDOWN

ラットプルダウン

背中のトレーニング

吸う

腕を伸ばして戻す局面

吐く

バーを引き下げる局面

引く動作に合わせて吐きながら、
上半身を過度に反らせないようにします。

04 / DUMBBELL CURL

アームカール

上腕二頭筋のトレーニング

吸う

ダンベルを下ろす局面

吐く

肘を曲げて持ち上げる局面

反動を大きく使わず、
動作と呼吸のリズムを確認します。

HOW TO READ

この表は、初心者が呼吸を覚えるための
基本例です。
最大筋力を狙う高重量トレーニングや、
特定の競技技術にそのまま当てはめるものではありません。

03 / BREATHING & PRESSURE

腹圧を高めることと、
息を止めることは同じ?

トレーニングでは、
「お腹に力を入れる」
「腹圧を高める」
「息を止める」
という説明を聞くことがあります。

これらは関係していますが、
完全に同じ意味ではありません。

腹圧とは

腹圧は、腹腔内に生じる圧力です。
横隔膜、腹部の筋群などの働きや
呼吸の条件によって変化します。

腹圧の変化は、
体幹の安定性を考えるうえで
一つの重要な要素です。

息止め・バルサルバ法とは

バルサルバ法は、
声門を閉じるなどして
呼気を外へ出さずに力む動作です。

高い力を発揮する場面では、
胸腔内圧や腹腔内圧を高め、
体幹の剛性を確保することに
関係すると考えられています。

一方で、運動中の血圧を
さらに上昇させる可能性があるため、
誰にでも推奨できる方法ではありません。

BRACING

体幹を安定させる

動作に必要な筋活動や圧力を調整する。
必ずしも長時間の息止めを意味しません。

BREATH HOLDING

呼吸を一時的に止める

高い圧力を生みやすい一方、
血圧など循環器系への影響も考慮する必要があります。

04 / RESEARCH EVIDENCE

息を止めると、
身体では何が起こる?

呼吸の方法によって、
運動中の循環器系への反応が
変化することが報告されています。

2026 / ORIGINAL RESEARCH

スクワット中の呼吸方法と
心肺応答を比較した研究
17
健康な若年女性
3
負荷条件
2
呼吸条件

Hummelmannら(2026)は、
自重および比較的軽い追加負荷でのスクワットについて、
息止めと呼吸を継続する条件を比較しました。

息止め条件では、
呼吸を継続する条件よりも
収縮期血圧や心臓の仕事量に関係する指標が
高くなりました。

一方、対象は健康な若年女性17名であり、
高重量トレーニングや
心血管疾患のある人へ
結果をそのまま当てはめることはできません。


原著論文を確認する →

以前の研究でも、
息止めによる血圧反応が報告されている。

1992年に発表された研究では、
運動初心者の男性20名を対象に、
筋力トレーニング中の呼吸方法と
血圧反応が比較されました。

その結果、検討された条件では
バルサルバ法を用いたときの
血圧反応が最も大きくなりました。

また、2013年のレビューでは、
バルサルバ法による腹腔内圧の上昇が
体幹の安定性に寄与する可能性と、
循環器系への影響が整理されています。

つまり、息止めには
力を発揮する際の機械的な利点が
考えられる一方、
生理的な負担もあります。

INTERPRETATION

息止めを、
一律に正解とも不正解とも言わない。

研究から分かるのは、
呼吸方法によって身体の反応が変わることです。
その方法が個人に適しているかは、
健康状態、負荷、運動経験などを
含めて判断する必要があります。

05 / PRACTICAL GUIDE

呼吸が分からなくなったら、
軽い重量から確認する。

呼吸のタイミングを意識しすぎて、
動作そのものがぎこちなくなることもあります。

その場合は、
呼吸とフォームを同時に
複雑に考える必要はありません。

01
REDUCE LOAD

重量を軽くする

呼吸に注意を向けても
動作を安定して行える負荷を選びます。

02
FIND THE RHYTHM

吸う・吐くを合わせる

力を発揮するときに吐き、
戻すときに吸う基本形から練習します。

03
CHECK MOVEMENT

フォームを確認する

呼吸のために姿勢が大きく崩れたり、
動作が不自然になったりしていないかを見ます。

04
ADJUST

負荷と呼吸を調整する

動作に慣れてきたら、
目的や重量に合わせて
呼吸の方法も確認します。

SAFETY NOTE

高血圧や心血管疾患などがある場合、
意図的な息止めを自己判断で取り入れないでください。
運動の強度や呼吸方法について、
必要に応じて医療専門職へ相談してください。
運動中に胸痛、強いめまい、失神しそうな感覚などが
生じた場合は運動を中止し、適切な医療対応を受けてください。

06 / STUDIO KOMPAS

呼吸だけを、
正しくしようとしない。

STUDIO KOMPASでは、
呼吸を身体評価の一つの要素として考えています。

例えばスクワットで
体幹の位置が安定しにくい場合、
呼吸だけが原因とは限りません。

股関節や足関節の動き、
扱っている重量、
運動経験、
動作そのものの習熟度なども
関係する可能性があります。

そのため、
「息を吐けばフォームが良くなる」
「腹圧を高めれば問題が解決する」
と一つの方法だけで判断しません。

必要に応じて呼吸や胸郭の動きを確認し、
その結果を実際のトレーニングへ
つなげていきます。

KOMPAS VIEW

呼吸も、関節も、筋力も。
実際の動作の中で考える。

身体の一部分だけで判断せず、
目的に対して必要な要素を整理する。
それがKOMPASで
トレーニングを考える際の基本的な視点です。

07 / FAQ

筋トレ中の呼吸について、
よくある質問。

Q. 筋トレでは、力を入れるときに吐くのが正解ですか?

初心者が呼吸を覚える際には、
力を発揮する局面で吐く方法が
分かりやすい基本形です。
ただし、高重量トレーニングなどでは
別の呼吸方法が用いられることもあります。

Q. スクワットでは、しゃがむときに吸いますか?

一般的な負荷であれば、
しゃがむときに吸い、
立ち上がるときに吐く方法が一つの目安です。
高重量では、体幹の安定性などを考慮して
方法を調整することがあります。

Q. 筋トレ中に息を止めるのは危険ですか?

息止めによって運動中の血圧反応が
大きくなることが報告されています。
ただし、健康な人が短時間行う場合の影響と、
高血圧や心血管疾患がある場合のリスクを
同一には考えられません。
健康状態に応じた判断が必要です。

Q. 腹圧を入れるには、息を止める必要がありますか?

必ずしもそうではありません。
腹圧や体幹の安定性は
呼吸と関係しますが、
長時間息を止めることだけが
体幹を安定させる方法ではありません。

Q. 呼吸がうまくできないと、筋トレの効果はありませんか?

呼吸のタイミングだけで
トレーニング効果の有無は決まりません。
まずは扱いやすい重量で、
動作と呼吸を無理なく合わせることから
始めてみてください。

REFERENCES

参考文献・公的情報

  1. Hummelmann S, et al. (2026).
    Breathing technique-dependent acute
    cardiopulmonary responses during squats
    in healthy females.
    Physiological Reports.

    原著論文
  2. Linsenbardt ST, Thomas TR, Madsen RW. (1992).
    Effect of breathing techniques on blood
    pressure response to resistance exercise.
    British Journal of Sports Medicine.

    PubMed
  3. Hackett DA, Chow CM. (2013).
    The Valsalva maneuver:
    its effect on intra-abdominal pressure
    and safety issues during resistance exercise.
    Journal of Strength and Conditioning Research.

    PubMed
  4. Blazek D, et al. (2019).
    Systematic review of intra-abdominal
    and intrathoracic pressures initiated by
    the Valsalva manoeuvre during
    high-intensity resistance exercises.
    Biology of Sport.

    PubMed
  5. American College of Sports Medicine.
    Exercise for the Prevention and Treatment
    of Hypertension.

    公的解説
本記事の位置づけ

研究で報告されている一般的な生理学的知見と、
STUDIO KOMPASが指導を考える際の視点を
分けて記載しています。
個別の疾病の診断や治療方法を示すものではありません。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修:山岸慎

STUDIO KOMPAS創業者・パーソナルトレーナー|NSCA-CSCS


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TRAIN
WITH
UNDERSTANDING.

STUDIO KOMPAS / SHIBUYA

呼吸も、フォームも。
自分の身体に合わせて。

呼吸のタイミングを覚えることは、
トレーニングを理解する一つの入り口です。

STUDIO KOMPASでは、
姿勢・関節・動作・呼吸などを必要に応じて確認し、
目的と身体に合わせて
トレーニングを組み立てます。

渋谷駅 徒歩約7分
神泉駅 徒歩約5分
60分 ¥9,000(税込)
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