JOINT STABILITY / MOBILITY / CONTROL
関節が
「安定する」とは?
動かないことが、
安定ではない。
身体が柔らかい。
関節も大きく動く。
それでも立っていると脚が張る。
トレーニングでは思うように力を出せない。
そんなとき、
必要なのは「さらに柔らかくすること」
だけではないかもしれません。
関節には動くことだけでなく、
外から受ける力や自分自身の動きに合わせて、
身体をコントロールすることも求められます。
今回は、
関節の可動性と安定性を分けながら、
「安定して動く」とはどういうことなのかを考えます。
QUICK ANSWER
STABILITY
≠ IMMOBILITY
安定性は、
関節を動かなくすることではありません。
歩く。しゃがむ。走る。重さを持つ。
身体を動かしている間、
関節にはさまざまな方向から力が加わります。
その中で必要な動きを許容しながら、
身体をコントロールする。
関節の安定性を考えるときは、
「固定する能力」ではなく、
動作の中で必要な状態をつくる能力として
捉えることが重要です。
MOVE × SUPPORT
動けること。支えられること。
どちらか一方ではなく、
動作に合わせて両方を使う。
01 / MOBILITY & STABILITY
「動ける」と「安定する」は、
対立するものではない。
可動性と安定性は、
どちらか一方を選ぶものではありません。
動く
目的とする動作に必要な範囲へ、
関節を動かせること。
支える
外力や自分自身の動きに対して、
必要な状態を調整すること。
例えばスクワットでは、
股関節や膝、足関節を動かしながら、
身体全体をコントロールする必要があります。
関節がまったく動かなければ、
スクワットそのものができません。
一方で、
関節が大きく動くだけでも
目的とする動作が成立するとは限りません。
必要な範囲で動き、
その動きの中で力を発揮する。
可動性と安定性は、
実際の動作では同時に存在します。
02 / WHAT CREATES STABILITY?
関節の安定性は、
筋力だけでは決まらない。
関節を支える仕組みを、
大きく3つの視点から整理します。
PASSIVE
受動的な要素
骨の形状、関節包、靱帯など、
関節を構成する組織そのものが
動きに対する制約に関わります。
ACTIVE
能動的な要素
関節周囲の筋が活動し、
動作や外力に応じて
身体を調整します。
SENSORIMOTOR
感覚運動制御
身体から得られる感覚情報をもとに、
神経系が筋活動のタイミングや大きさを
調整します。
SCIENCE NOTE
靱帯だけでも、筋肉だけでもない。
関節安定性に関する研究では、
靱帯などの受動的構造に加えて、
筋活動と感覚運動制御が関節安定性に
関与することが整理されています。
03 / PASSIVE STABILITY
力を入れなくても、
身体には支える構造がある。
関節は、
筋肉だけでつながっているわけではありません。
骨の形状、関節包、靱帯なども、
関節の動き方に影響します。
こうした構造は、
筋肉のように意識して収縮させるものではないため、
関節安定性を考える際の
「受動的な要素」として整理できます。
ただし、
実際の人間の動作では
受動的な構造だけが単独で働いているわけではありません。
筋活動や感覚運動制御と組み合わさりながら、
関節は動き続けています。
関節の安定性を、
「筋力が強い・弱い」だけで考えない。
04 / DYNAMIC STABILITY
動きながら、
支える。
トレーニングで重要になるのは、
静止しているときだけの安定性ではありません。
立つ
重力に対して、
身体の位置を調整する。
しゃがむ
複数の関節を動かしながら、
荷重をコントロールする。
片脚になる
支持面が変化する中で、
身体を調整する。
重さを持つ
外部負荷に合わせて、
必要な筋活動を変える。
同じ人でも、
立っているとき、
歩いているとき、
重いものを持っているときでは
必要な安定性は同じではありません。
だからこそ、
「安定性が高い身体」を
一つの形として定義することはできません。
動作や負荷に合わせて、
必要な筋活動を調整できることが重要です。
05 / FLEXIBLE BODY
身体が柔らかくても、
筋肉が張ることはある。
「筋肉が張る=身体が硬い」
と考えられることがあります。
しかし、
関節可動域が十分にある人でも、
立位や動作の中で
特定の筋群を多く使っているように見えるケースがあります。
この場合、
筋肉の張りを感じるからといって、
さらに可動域を広げることだけが
最初の選択になるとは限りません。
どこまで動けるのか。
そして、
その可動域の中で身体をどこに置き、
どのように支えているのか。
両方を見る必要があります。
「張っている」
=「可動域が足りない」ではない。
ROMと実際の身体の使い方を
分けて確認することが重要です。
06 / POSITION & MUSCLE ACTIVITY
身体をどこに置くかで、
筋肉の使われ方も変わる。
ここでは、KOMPASで身体を見るときの
一つのケースとして考えます。
CASE
関節はよく動く。
でも、立つと脚が張る。
股関節や足関節の可動域には
大きな制限が見られない。
一方で立位を見ると、
身体全体が前方へ移動しやすく、
下肢の筋活動を使いながら
その位置を保っているように見える。
ROM
動く範囲を確認
POSITION
身体の位置を確認
LOAD
荷重位置を確認
MOVEMENT
実際に動いて確認
このケースから「原因」を決めない。
身体が前方へ位置していることだけから、
特定の筋肉の張りや身体の不調の原因を
判断することはできません。
身体評価では複数の情報を合わせて考えます。
07 / LEG TENSION & APPEARANCE
「脚が張る・太く見える」を、
ストレッチだけで考えない。
「前ももが張りやすい」
「ふくらはぎを使っている感じが強い」
「脚のラインが気になる」
という相談があります。
ここで注意したいのは、
脚の太さや見た目を
一つの姿勢や筋活動だけから説明できないことです。
筋量、脂肪量、体格、
体液など複数の要素が関係します。
一方で、
日常の立位やトレーニング動作で
特定の筋群を使いやすい特徴が見られるなら、
柔軟性だけではなく
身体の位置や動作まで確認する価値があります。
「張っているから伸ばす」
だけではなく、
「なぜその筋肉を使っているように見えるのか」
まで考える。
それが身体を見るときの
一つの視点になります。
08 / HYPERMOBILITY
柔らかい身体を、
問題にしない。
関節可動域が大きいこと自体を、
問題と考える必要はありません。
競技や活動によっては、
大きな可動域が有利になることもあります。
一方、
関節過可動性を持つ成人を対象とした研究では、
非過可動群と比較して
姿勢動揺、筋活動、運動学的特徴などに
違いが報告されています。
ただし、
現在の研究は対象者の分類方法が統一されておらず、
エビデンスの質にも限界があります。
したがって、
「柔らかい=不安定」
「柔らかい=筋肉が張る」
と単純化することはできません。
柔らかさではなく、
その人がどう動いているかを見る。
09 / STABILITY TRAINING
安定性トレーニングは、
「固める練習」ではない。
実際のトレーニングでは、
動作に合わせて条件を変えていきます。
POSITION
位置をつくる
足裏、関節、体幹などの
スタート位置を確認する。
CONTROL
支える
その位置で身体を
コントロールする。
MOVE
動かす
身体を支えながら
関節を動かす。
LOAD
負荷を変える
重量、速度、支持面などを
目的に合わせて変える。
安定性は「動かない能力」ではなく、
動くために必要な条件の一つ。
10 / STUDIO KOMPAS
「硬い・柔らかい」だけで、
身体を決めない。
関節を見る
必要な関節が
どの程度動くかを確認します。
位置を見る
立位や荷重時の
身体の位置を確認します。
支え方を見る
その位置で身体を
どう調整しているかを見ます。
動作を見る
スクワットなどの
実際の動作へつなげます。
身体が硬いからストレッチ。
不安定だから筋力トレーニング。
そうやって方法を先に決めるのではなく、
現在の身体を見てから方法を選ぶ。
可動性も安定性も、
身体を理解するための情報の一つとして扱います。
11 / THE WHOLE PICTURE
身体を、一つにつなげる。
動ける
+
支えられる
+
調整できる
=
動作へ
この図はKOMPASで身体を整理する際の考え方を
分かりやすく表現したものであり、
特定の医学的診断モデルを示すものではありません。
REFERENCES
参考文献
-
Riemann BL, Lephart SM.
The Sensorimotor System, Part I:
The Physiologic Basis of Functional Joint Stability.
J Athl Train. 2002;37(1):71-79. -
Solomonow M, Krogsgaard M.
Sensorimotor control of knee stability. A review.
Scand J Med Sci Sports. 2001;11(2):64-80. -
Lima CD, Blazevich AJ.
Mechanisms Influencing Maximum Joint Range of Motion and Stiffness:
A Narrative Review.
Sports Med. 2026. -
Afonso J, Blazevich AJ, Behm DG, et al.
One of These Things Is Not Like the Others:
Disentangling the Concepts of Range of Motion Versus Flexibility,
and Flexibility Training Versus Stretching.
Sports Med. 2026;56(8):1869-1875. -
Wang Y, Strutton PH, Alexander CM.
Falls and balance impairment; what and how has this been measured
in adults with joint hypermobility? A scoping review.
BMC Musculoskelet Disord. 2025;26:88. -
Hook J, et al.
Walking and running in people who are hypermobile:
A scoping review.
Gait Posture. 2025.
本記事では、研究で報告されている一般的な知見と、
STUDIO KOMPASで身体評価・トレーニングを行う際の考え方を
分けて記載しています。
個人の症状や身体状態を
記事だけから診断するものではありません。
STUDIO KOMPAS / SHIBUYA
MOVE.
SUPPORT.
CONTROL.
動けることと、
支えられること。
関節を見る。
身体の位置を見る。
実際の動作を見る。
STUDIO KOMPASでは、
現在の身体と目的から
必要なトレーニングを考えます。
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