MUSCLE TENSION / STIFFNESS / MOVEMENT
筋肉が張る。
=硬い?
「張っている」と
「動かない」は同じではない。
前ももが張る。
ふくらはぎが張る。
肩まわりがいつも硬く感じる。
そんなとき、
「筋肉が硬いからストレッチしよう」
と考えることがあります。
もちろんストレッチが
選択肢になることはあります。
しかし、
「張っていると感じること」と、
「関節可動域が小さいこと」、
「組織のstiffnessが高いこと」、
「筋活動が大きいこと」は、
すべて同じ意味ではありません。
今回は「筋肉の張り」を、
柔軟性・可動域・筋活動・身体の使い方から
分けて考えます。
QUICK ANSWER
TIGHT
≠ SHORT
張って感じるからといって、
その筋肉が短いとは限りません。
「張る」という言葉は、
身体で感じている感覚を表しています。
一方、
関節可動域や筋・筋腱複合体のstiffness、
筋活動はそれぞれ別の指標です。
だからこそ、
張っている場所を見つけて
すぐに伸ばすのではなく、
まず何が起きているのかを分けて考える必要があります。
FEELING TIGHT
IS NOT A DIAGNOSIS.
「張る」という感覚だけでは、
身体で起きていることを一つに決められません。
01 / WHAT DOES “TIGHT” MEAN?
「硬い」という言葉には、
いくつもの意味が混ざっている。
日常ではすべて「硬い」と表現されることがありますが、
身体を見るときは分けて考えます。
SENSATION
張る・重い
本人が感じている
張り、重さ、こわばりなどの感覚。
RANGE OF MOTION
動く範囲
関節が実際に
どこまで動けるのか。
STIFFNESS
動かしたときの抵抗
組織を伸張・関節を回転させた際に
生じる機械的な抵抗。
MUSCLE ACTIVITY
筋活動
姿勢や動作を行うために
筋がどのように活動しているか。
同じ「硬い」でも、
見ているものが違う。
02 / RANGE OF MOTION
身体が柔らかくても、
張りを感じることはある。
前屈で床に手が届く。
股関節も大きく動く。
足関節にも大きな可動域制限は見られない。
それでも、
「脚がいつも張っている」
と感じる人はいます。
この場合、
少なくとも「張る」という感覚だけから
可動域不足とは判断できません。
最大関節可動域には、
筋や腱などの機械的な特性だけではなく、
感覚情報や伸張に対する許容なども関係します。
そのため、
ROMの大きさと
本人が感じる「張り」を
同じものとして扱わないことが重要です。
03 / STIFFNESS
ROMとstiffnessも、
同じではない。
どこまで動けるか
関節運動の到達範囲を
一つの指標として見る。
どの程度抵抗するか
関節を動かしたり、
組織を伸ばしたりした際の
抵抗を考える。
ストレッチによって
関節可動域が大きくなることは
多くの研究で報告されています。
一方で、
ROMが変化することと
筋・筋腱複合体の受動的なstiffnessが変化することは
完全に同じ現象ではありません。
「柔らかくなった」という言葉だけでは、
身体の何が変化したのかまでは分からないのです。
04 / MUSCLE ACTIVITY
筋肉は、
身体を支えるためにも働く。
筋活動はトレーニング中だけに起こるものではありません。
立つ
重力に対して
身体の位置を調整する。
歩く
支持脚を変えながら
身体を前方へ運ぶ。
動く
負荷や速度に合わせて
筋活動を調整する。
人は立っているだけでも、
完全に力を抜いているわけではありません。
身体の揺れや重力に対して、
足関節周囲を含む筋活動によって
姿勢を調整しています。
つまり、
筋肉が活動していること自体は
異常ではありません。
大切なのは、
「使っている筋肉をなくすこと」ではなく、
目的とする動作の中で
どのように身体を使っているのかを見ることです。
05 / CASE
身体は柔らかい。
でも、脚が張る。
KOMPASで身体を見るときの
一つの考え方を例にします。
EXAMPLE
可動域には大きな制限がない。
それでも立位では脚の張りを感じる。
この場合、
「脚の筋肉が短い」と
最初から決める必要はありません。
ROM
本当に可動域が狭い?
POSITION
どこに身体がある?
LOAD
どこで荷重している?
MOVEMENT
動くとどう変わる?
06 / POSITION
身体の位置が変われば、
必要な筋活動も変わる。
立位では、
身体は重力に対して
常に小さく揺れながら姿勢を保っています。
そのため、
身体の位置や荷重条件が変われば、
姿勢を維持するために必要な筋活動も変化します。
例えば、
立位で身体全体が前方へ位置しやすい人を見たとき、
KOMPASでは「前重心だから悪い」とは判断しません。
足部や足関節、
膝・股関節、
骨盤・胸郭の位置、
そして実際の動作を確認します。
その位置がその人にとって
どのような意味を持っているのかを
複数の情報から考えるためです。
張っている場所を見る。
その筋肉だけで終わらせない。
07 / LEG APPEARANCE
「脚が張る」と
「脚が太い」も分ける。
前ももやふくらはぎが張りやすく、
「この筋肉を使うから脚が太くなったのでは?」
と感じることがあります。
ただし、
脚の見た目は筋量だけでは決まりません。
脂肪量、筋量、骨格、
体液など複数の要素が関係します。
そのため、
特定の姿勢や一つの筋活動から
脚の太さの原因を決めることはできません。
一方で、
トレーニング中に
「前ももばかり使っている感じがする」
といった特徴がある場合には、
柔軟性だけでなく
種目・フォーム・荷重・動作を確認する価値があります。
08 / STRETCHING
では、ストレッチは
必要ない?
いいえ。
ストレッチが不要ということではありません。
静的ストレッチを継続することで
関節可動域が増加し、
条件によっては筋stiffnessが低下することも
報告されています。
問題なのは、
「張っているから必ずストレッチ」
と方法を先に決めてしまうことです。
可動域が不足しているなら
ストレッチが選択肢になる。
すでに必要な可動域があるなら、
筋力や動作の練習が
より重要になる場合もあります。
「何を伸ばす?」
BUT
「今、何が必要?」
09 / ASSESSMENT
張りを感じたとき、
何を見る?
FEEL
感覚
いつ、どこで、
どのような張りを感じるのか。
ROM
可動域
実際に必要な関節可動域が
あるのかを確認する。
POSITION
身体の位置
立位や荷重時に
どこに身体があるかを見る。
MOVEMENT
動作
スクワットや歩行など
実際の動作で確認する。
10 / STUDIO KOMPAS
「張る場所」から、
身体全体を見る。
前ももが張るから、
前ももを伸ばす。
ふくらはぎが張るから、
ふくらはぎをほぐす。
それが必要なこともあります。
でも、
それだけが答えとは限りません。
関節は動くのか。
身体をどこに置いているのか。
どのように荷重しているのか。
実際の動作では何が起きているのか。
KOMPASでは、
「張っている筋肉」を
一つの情報として扱い、
そこから身体全体を確認します。
→
CHECK
→
MOVE
→
TRAIN
REFERENCES
参考文献
-
Lima CD, Blazevich AJ.
Mechanisms Influencing Maximum Joint Range of Motion and Stiffness:
A Narrative Review.
Sports Med. 2026. -
Takeuchi K, et al.
Long-term static stretching can decrease muscle stiffness:
A systematic review and meta-analysis.
Scand J Med Sci Sports. 2023;33(8):1294-1306. -
Fukaya T, Sato S, Yahata K, et al.
Effects of stretching intensity on range of motion and muscle stiffness:
A narrative review.
J Bodyw Mov Ther. 2022;32:68-76. -
Blazevich AJ.
Adaptations in the passive mechanical properties of skeletal muscle
to altered patterns of use.
J Appl Physiol. 2019;126(5):1483-1491. -
Héroux ME, Dakin CJ, Luu BL, et al.
Absence of lateral gastrocnemius activity and differential motor unit
behavior in soleus and medial gastrocnemius during standing balance.
J Appl Physiol. 2014;116(2):140-148.
本記事では、研究で示されている一般的な知見と、
STUDIO KOMPASで身体評価・トレーニングを行う際の
考え方を分けて記載しています。
筋肉の張りや痛みの原因を
記事だけから診断するものではありません。
STUDIO KOMPAS / SHIBUYA
DON’T JUST
STRETCH IT.
張っている。
だから、まず見る。
柔軟性を見る。
関節を見る。
身体の位置を見る。
動作を見る。
そのうえで、
今の身体に必要なトレーニングを考えます。
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