ACTIVE ROM / PASSIVE ROM / MOVEMENT
動く。
動かされる。
同じ可動域?
自動可動域と他動可動域の違い
ストレッチをすると、よく動く。
人に動かしてもらっても、よく動く。
でも、自分で動かそうとすると
同じところまで動かせない。
このようなとき、
「身体が硬い」と考えるだけでは
身体で起きていることを十分に整理できません。
関節可動域には、
自分の力で動かす自動可動域(AROM)と、
外から動かされたときの他動可動域(PROM)
という見方があります。
今回は、この2つを分けることで
「身体は柔らかいのに、思うように動かせない」
という状態を考えていきます。
QUICK ANSWER
AVAILABLE
≠ USABLE
「動く範囲」と、
「自分で動かせる範囲」は同じではありません。
他動可動域は、
外から力を加えられたときに
関節がどこまで動くかを見る一つの指標です。
自動可動域は、
自分自身の筋活動によって
関節をどこまで動かせるかを見ます。
そのため、
PROMが十分にあっても、
AROMでは同じ範囲まで動かせないことがあります。
ただし、その差だけから
「筋力不足」「不安定」と
原因を一つに決めることはできません。
RANGE IS ONE THING.
USING IT IS ANOTHER.
可動域があることと、
その範囲を自分で使えることは分けて考える。
01 / RANGE OF MOTION
まず、関節可動域を
一つの数字にしない。
「股関節が120°動く」のような数字だけでは、
その人が実際にその範囲をどう使えるのかまでは分かりません。
関節可動域(Range of Motion:ROM)は、
関節がどの程度動くことができるかを表します。
しかしROMを評価するときには、
誰がその関節を動かしているのかも重要です。
自分自身の筋活動で動かしているのか。
それとも、検査者や重力などの外力によって
動かされているのか。
同じ関節でも、
条件が違えば確認しているものも変わります。
02 / AROM & PROM
自動可動域と、
他動可動域。
AROM
自動可動域
自分で動かす。
自分自身の筋活動によって
関節を動かしたときの可動範囲。
- 自分で動かす
- 筋活動を伴う
- 運動制御の影響を受ける
- 実際の動作に近い情報を含む
PROM
他動可動域
動かされる。
検査者などの外力によって
関節を動かしたときの可動範囲。
- 外力によって動く
- 本人の筋活動への依存が小さい
- 組織・関節構造などの影響を受ける
- 動くことが可能な範囲を見る材料になる
AROM・PROMは測定姿勢や測定方法によって値が変化します。
単純に一つの数値だけで身体の機能を判断するものではありません。
03 / THE GAP
他動では動く。
自動では動かない。
この「差」は、
身体を見るための一つの情報になります。
例えば仰向けになり、
誰かに脚を持ち上げてもらうと
股関節は大きく動く。
ところが、
自分で脚を持ち上げようとすると
同じ位置までは上がらない。
この場合、
「股関節そのものが動かない」
だけでは説明できません。
関節が動くことのできる範囲と、
自分でその範囲へ身体を動かす能力に
違いがある可能性があります。
ただし、
AROMとPROMの差を見つけただけで
原因を一つに決めることはできません。
差を見つける。
差から診断しない。
04 / WHAT CAN CREATE THE GAP?
AROMとPROMの差を、
何から考える?
一つの原因ではなく、
複数の条件を確認します。
STRENGTH
筋力
その位置まで関節を動かすための
筋力が十分かを考えます。
CONTROL
運動制御
必要な筋活動を組み合わせながら
動作を調整できているかを見ます。
POSITION
身体の位置
骨盤や胸郭などの位置によっても
動かしやすい範囲は変化します。
LOAD
負荷
重力や重量など、
身体にかかる負荷条件を確認します。
SENSATION
感覚
痛みや伸張感などによって
動かし方が変化することがあります。
TASK
課題
単関節運動とスクワットでは
求められる運動制御が異なります。
だから筋力不足。
だから不安定。
という一方向の判断はしません。
05 / FLEXIBLE BUT NOT USABLE
身体は柔らかい。
でも、思うように動かせない。
「身体が柔らかい」という人でも、
トレーニングでは思うような動作ができないことがあります。
ストレッチでは十分に動く。
他動的に確認しても可動域はある。
それでも、
自分で動かすと範囲が小さくなる。
荷重すると動き方が変わる。
重さを持つとさらに変わる。
この場合、
さらにストレッチを増やすことだけが
選択肢になるとは限りません。
すでに必要なPROMがあるのであれば、
自分でその範囲を動かす練習や、
その範囲で力を出すトレーニングを
検討することもできます。
MORE FLEXIBILITY?
OR MORE CONTROL?
広げる必要があるのか。
すでにある範囲を使う必要があるのか。
06 / PASSIVE → ACTIVE → LOADED
条件を変えると、
身体の見え方も変わる。
PASSIVE
動かされる
外力を使って、
関節がどの程度動くかを見る。
ACTIVE
自分で動かす
自分自身の筋活動で
どこまで動かせるかを見る。
WEIGHT BEARING
身体を支えて動く
立位など、
荷重した条件で確認する。
LOADED MOVEMENT
負荷の中で動く
スクワットなど、
実際のトレーニングへつなげる。
KOMPASでは、
「関節が何度動くか」だけで身体を終わらせません。
条件を変えたとき、
その可動域をどのように使えるのかを見ることで、
トレーニングで何を練習するかを考えます。
07 / EXAMPLE — HIP
股関節を例に、
考えてみる。
仰向けでは脚が上がる。
立位では同じように上げられない。
他動では動く
外力によって股関節を動かすと
十分な範囲が確認できる。
自動では小さくなる
自分で脚を動かすと
同じ範囲まで届かない。
立つと条件が変わる
立位では支持脚や体幹も含めて
身体全体を調整する必要がある。
動作で再確認する
最終的には目的とする動作の中で
どう使えているかを見る。
この例から
「股関節の筋力が弱い」
と即座に決めるわけではありません。
AROMとPROMの違いは、
次に何を確認するかを考えるための情報です。
08 / RANGE & STABILITY
可動性と安定性は、
別々ではない。
自分で関節を動かすとき、
身体は単に可動域を使っているだけではありません。
関節を動かす筋活動と同時に、
身体の他の部位も位置を調整しています。
そのため、
「可動性」と「安定性」を
完全に切り離して考えることはできません。
必要な範囲へ動き、
その範囲で身体を支え、
目的に合わせて力を出す。
実際の動作では、
これらが同時に起こります。
09 / TRAINING
広げるだけではなく、
使う練習へ。
CHECK
PROMを確認
そもそも必要な範囲まで
関節が動けるのかを見る。
ACTIVE
自分で動かす
その範囲を自分自身で
コントロールして動かす。
STRENGTH
範囲の中で力を出す
必要に応じて抵抗を加え、
動く範囲で力を出す練習をする。
MOVEMENT
動作へつなげる
スクワットや歩行など、
実際の動作で再確認する。
「もっと柔らかくする」前に、
今ある可動域を使えているかを見る。
10 / MUSCLE TENSION
柔らかいのに、
筋肉が張る場合は?
PROMが大きく、
「身体は柔らかい」と言われる人でも、
前ももやふくらはぎなどに
張りを感じることがあります。
その場合も、
可動域が大きいことだけから
筋肉の張りの原因を決めることはできません。
AROMはどうか。
立位ではどこに身体を置いているか。
どこで荷重しているか。
動作ではどの筋群を使っているように見えるか。
可動域だけではなく、
実際の身体の使い方まで確認することで、
「柔らかい・硬い」という二択から
一歩先へ進むことができます。
11 / STUDIO KOMPAS
「どこまで動く?」から、
「どう使う?」まで。
目的を確認する
何をしたいのか。
どの動作が気になるのかを確認します。
関節を見る
必要に応じて
関節可動域を確認します。
自分で動かす
可動域が実際の動作で
どう使われているかを見ます。
必要な能力を練習する
ストレッチ、筋力、動作など
必要な方法を選択します。
可動域が狭いからストレッチ。
身体が柔らかいから問題なし。
そうやって方法を先に決めるのではなく、
現在の身体と目的を確認してから
必要なトレーニングを考えます。
REFERENCES
参考文献
-
Fleisig GS, Slowik JS, Daggett M, Rothermich MA,
Cain EL Jr, Wilk KE.
Active range of motion of the shoulder:
a cross-sectional study of 6635 subjects.
JSES Int. 2023;7(1):132-137. -
Wyon MA, Smith A, Koutedakis Y.
A comparison of strength and stretch interventions
on active and passive ranges of movement in dancers:
a randomized controlled trial.
J Strength Cond Res. 2013;27(11):3053-3059. -
Sabari JS, Maltzev I, Lubarsky D, Liszkay E, Homel P.
Goniometric assessment of shoulder range of motion:
comparison of testing in supine and sitting positions.
Arch Phys Med Rehabil. 1998;79(6):647-651. -
Kim SG, Kim EK.
Test-retest reliability of an active range of motion test
for the shoulder and hip joints by unskilled examiners
using a manual goniometer.
J Phys Ther Sci. 2016;28(3):722-724.
本記事では、AROM・PROMに関する一般的な運動学・測定概念と、
STUDIO KOMPASで身体評価・トレーニングを行う際の
考え方を分けて記載しています。
AROMとPROMの差だけから、
筋力低下・関節不安定性・痛みなどの原因を
診断するものではありません。
STUDIO KOMPAS / SHIBUYA
MOVE.
CONTROL.
USE IT.
可動域を、
使える動きへ。
どこまで動くのか。
自分でどこまで動かせるのか。
荷重するとどう変わるのか。
STUDIO KOMPASでは、
可動域の数字だけではなく、
実際の動作まで確認しながら
トレーニングを考えます。
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