HIP ROTATION / MOBILITY / CONTROL

股関節の
内旋・外旋とは?

「硬い・柔らかい」だけではなく、
股関節が回るということを考える。

股関節というと、
脚を前後へ動かす「屈曲・伸展」を
イメージすることが多いかもしれません。

しかし股関節には、
脚を内側・外側へ回す
内旋・外旋という動きもあります。

歩く、しゃがむ、片脚で立つ、
スポーツで方向を変える。

こうした動作では、
股関節は一方向だけではなく
複数方向へ動きながら身体を支えています。

この記事では、
股関節の内旋・外旋とは何か、
可動域、左右差、姿勢による違い、
トレーニングまで整理します。

HIP
INTERNAL ROTATION
EXTERNAL ROTATION
ROM

QUICK ANSWER

股関節は、
前後だけに動かない。

股関節は、
大腿骨頭と骨盤の寛骨臼によって構成される
球関節です。

屈曲・伸展、
外転・内転、
内旋・外旋など、
三次元的に運動します。

内旋は大腿骨が内側へ回る方向、
外旋は外側へ回る方向の運動です。

ただし、
「内旋○度・外旋○度なら正しい」
と一つの数字だけで身体を判断することはできません。


THE HIP
MOVES IN 3D.

股関節を、一方向だけで考えない。

01 / HIP JOINT

股関節の動きは、
6方向。

内旋・外旋も、
股関節の基本的な運動の一つです。

FLEXION
屈曲

大腿部を前方へ近づける方向。

EXTENSION
伸展

大腿部を後方へ動かす方向。

ABDUCTION
外転

脚を身体の外側へ動かす方向。

ADDUCTION
内転

脚を身体の内側へ動かす方向。

INTERNAL ROTATION
内旋

大腿骨が内側へ回る方向。

EXTERNAL ROTATION
外旋

大腿骨が外側へ回る方向。

02 / INTERNAL ROTATION

股関節の内旋とは?

股関節内旋は、
大腿骨が骨盤に対して
内側へ回旋する運動です。

座った状態で膝を約90度曲げた場合には、
下腿を外側へ動かすことで
股関節には内旋運動が生じます。

ただし実際の歩行やスクワットでは、
大腿骨だけが単独で動くわけではありません。

骨盤の位置や体幹、
足部・膝関節などと組み合わさりながら
動作がつくられます。

POINT

「膝が内側へ入ること」と
「股関節内旋」は同義ではありません。
実際の動作は複数の関節運動から構成されます。

03 / EXTERNAL ROTATION

股関節の外旋とは?

股関節外旋は、
大腿骨が骨盤に対して
外側へ回旋する運動です。

座った状態で膝を約90度曲げた場合には、
下腿を内側へ動かすことで
股関節には外旋運動が生じます。

外旋も内旋と同じように、
日常生活やトレーニングの中で
単独で現れるとは限りません。

股関節の屈曲・伸展、
外転・内転などと組み合わさりながら
三次元的な運動になります。

INTERNAL ROTATION
内旋

大腿骨が内側へ回る。

↔
EXTERNAL ROTATION
外旋

大腿骨が外側へ回る。

04 / RANGE OF MOTION

内旋・外旋は、
何度あればいい?

股関節の可動域について調べると、
内旋○度、外旋○度といった
数字が紹介されています。

しかし研究を見ると、
股関節回旋ROMは
測定姿勢によって変化します。

健常な日本人成人を対象とした研究では、
座位と腹臥位で測定した
内旋・外旋ROMに有意な違いが確認されています。

また男女でも回旋ROMの傾向に違いがありました。

つまり、
一つの数字だけを切り取って
「正常・異常」と判断するのではなく、
どの姿勢・方法で測ったのかまで
考える必要があります。


ROM NEEDS
CONTEXT.

数字だけではなく、測定条件を見る。

05 / POSITION

姿勢が変われば、
股関節の回旋も変わる。

股関節の回旋可動域は、
いつでも同じではありません。

股関節を伸ばした状態、
曲げた状態、
座位、腹臥位など、
測定する姿勢によって結果が変化します。

股関節周囲の組織の張力や
骨盤の位置なども条件によって変わるためです。

さらに、
股関節回旋筋が発揮する力も
股関節の屈曲角度によって変化することが
報告されています。

01
SITTING
座位

股関節を屈曲した状態で回旋を見る。

02
PRONE
腹臥位

異なる股関節位置で回旋を見る。

03
STANDING
立位

荷重した状態で身体の使い方を見る。

IMPORTANT

「股関節が硬い」ではなく、
「どの条件で動きにくいか」を見る。

06 / ASYMMETRY

左右差がある。
それだけで問題?

股関節回旋を測ると、
左右で可動域が違うことがあります。

また同じ股関節でも、
内旋と外旋が同じ角度になるとは限りません。

健常な日本人成人を対象とした研究でも、
内旋優位・外旋優位など
複数の回旋ROMパターンが確認されています。

つまり左右差や内外旋差が存在することだけで、
直ちに身体の問題とは判断できません。

実際の動作、
運動歴、
競技、
症状の有無などと合わせて考える必要があります。

DON’T OVERSIMPLIFY

左右差は「直す対象」ではなく、
まず身体を理解するための情報として扱います。

07 / ACTIVE & PASSIVE

動かされる範囲と、
自分で動かせる範囲。

PASSIVE ROM

他動可動域

外から力を加えられた状態で
動くことのできる範囲。

ACTIVE ROM

自動可動域

自分の筋活動によって
動かすことのできる範囲。

「柔らかい」という言葉だけでは、
この二つを区別できません。

他動では大きく動けても、
自分では同じ範囲まで動かせないことがあります。

反対に、
一つの測定姿勢では小さく見えても、
実際の動作では別の身体の使い方をしていることがあります。

そのため、
可動域と動作コントロールは
分けて確認することが重要です。


関節可動域について詳しく見る →

08 / MOVEMENT

スクワットでは、
股関節はどう動く?

スクワットは、
股関節の屈曲・伸展だけで説明できる動作ではありません。

股関節、膝関節、足関節、
骨盤、体幹などが連動しながら
身体を下降・上昇させます。

股関節の回旋も
その動作の中で変化します。

ただし、
「スクワットには必ず股関節内旋○度必要」
と一律に決めることはできません。

スタンス幅、足の向き、
深さ、身体構造などによって
必要となる関節運動は変わります。


DON’T FORCE
ONE FORM.

身体にフォームを合わせる視点も持つ。

09 / TRAINING

内旋・外旋の
トレーニング。

股関節回旋のトレーニングには、
ストレッチ、
自動運動、
抵抗を使った運動、
立位での動作など
さまざまな方法があります。

しかし、
内旋が小さいから全員に内旋ストレッチ、
外旋が小さいから全員に外旋ストレッチ、
という考え方ではありません。

まず、
どの姿勢でどの方向が動きにくいのかを確認します。

そのうえで、
必要に応じて可動域を使う運動や
回旋方向へ力を発揮するトレーニング、
実際の動作へつなげる練習を選びます。

01
CHECK
確認

内旋・外旋を確認する。

→
02
COMPARE
比較

姿勢や左右を比較する。

→
03
TRAIN
運動

必要な方向をトレーニングする。

→
04
RECHECK
再確認

実際の動作へ戻して見る。

10 / STRUCTURE

ストレッチだけで、
すべて変わるわけではない。

股関節の回旋可動域には、
筋肉だけではなく、
関節包や靱帯、
骨形態など複数の要素が関係します。

そのため、
可動域が小さいという結果だけから
「筋肉が硬い」と決めることはできません。

股関節の骨形態によっては、
特定方向の運動で骨性の接触が生じることもあります。

痛みや強い詰まり感がある場合に、
無理に可動域を広げることを目的にするべきではありません。

IMPORTANT

「動かない=伸ばせばいい」
とは限らない。

11 / MOBILITY & CONTROL

可動域があることと、
使えることは同じ?

関節が大きく動くことと、
実際の動作の中でその範囲を
コントロールできることは同じではありません。

トレーニングでは、
可動域だけではなく
その範囲で力を発揮できるか、
姿勢を保てるか、
実際の動作へつなげられるかも確認します。

股関節内旋・外旋も、
「柔らかくする」だけではなく
必要な動作の中でどう使うかまで考えます。

RANGE
動ける範囲
CONTROL
動きを制御する
STRENGTH
力を発揮する
MOVEMENT
動作で使う

12 / STUDIO KOMPAS

「股関節が硬い」で、
終わらせない。

01 / LISTEN
目的

何をしたいのかを確認する。

02 / CHECK
評価

可動域と実際の動作を見る。

03 / THINK
考える

どこへ介入するかを考える。

04 / TRAIN
運動

目的に合う方法を選択する。

股関節内旋が小さい。
だから内旋ストレッチ。

必ずしも、
そこから始める必要はありません。

STUDIO KOMPASでは、
可動域の数字だけではなく、
身体の位置や実際の動作を確認しながら
トレーニングを考えます。

REFERENCES

参考文献

  1. Kouyoumdjian P, Coulomb R, Sanchez T, Asencio G.
    Clinical evaluation of hip joint rotation range of motion in adults.
    Orthop Traumatol Surg Res. 2012;98(1):17-23.
  2. Hip rotation range of motion in sitting and prone positions
    in healthy Japanese adults.
    J Phys Ther Sci. 2015.
  3. Reliability of hip internal rotation range of motion measurement
    using a digital inclinometer.
    2014.
  4. Ipsilateral patterns of the rotational range of motion
    of the hip in healthy Japanese adults.
    J Phys Ther Sci. 2016.
  5. Johnson S, Hoffman M.
    Isometric hip-rotator torque production
    at varying degrees of hip flexion.
    J Sport Rehabil. 2010;19(1):12-20.
  6. Hip Range of Motion During Passive and 1-Leg Exercises
    Is Greater in Women:
    A Meta-analysis and Systematic Review.
    Arthroscopy. 2023.

本記事では研究で報告された平均可動域を、
すべての人に適用する絶対的な正常値として扱っていません。

股関節回旋ROMは測定姿勢・性別・個人差などによって
異なることを前提に解説しています。

AUTHOR / SUPERVISOR

執筆・監修

山岸 慎

STUDIO KOMPAS創業者・パーソナルトレーナー|NSCA-CSCS

STUDIO KOMPAS / SHIBUYA

CHECK.
UNDERSTAND.
TRAIN.

身体を見てから、
方法を選ぶ。

股関節の内旋・外旋も、
身体を見るための一つの情報です。

一つの数値だけで判断せず、
現在の身体と目的に合わせて
トレーニングを組み立てます。

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